空に浮かぶ、太陽のような明るくて丸い物体。
太陽が温暖化の原因と言い張る大統領が、ロケット型宇宙ミサイルを打ち上げ、太陽を破壊してしまった。
大統領は死刑になり、太陽の代わりに人工太陽を打ち上げてから十年。
気温は下がるどころか、10℃以上上がっている。
人工太陽は、もう空のオブジェとしかなっていない。
だが、そんな太陽とも、もうすぐお別れだ。
我々は地球を捨て、別の惑星へ移住する。
宇宙船に乗り、宇宙へと飛び立つ。
窓から宇宙空間を見ると、人工太陽が羨ましそうにこっちを見ていた。
何を始めるのも、全て0からのスタート。
色んな経験をして、どんどん数字を増やしていく。
途中で数字が止まっても大丈夫。
だって、一気に数字を増やしても疲れるだけだから。
少しずつ、ゆっくりと、数字を増やしていくといい。
気長に、100を目指していこう。
「辛かったねぇ」
「分かるよ、その気持ち」
「私でよければ相談に乗るよ!」
私の事を分かったかのように近づいてくる女達。
顔や言い方は私のことを同情していても、心の中では嘲笑っている。
だから、私は同情されても軽く流して無視しているのだ。
「なによあいつ」
「折角同情してやってるのに」
ほら、すぐに本性を現した。
あんな奴らに同情されるぐらいなら、私は一人でいい。
「えー!そんなことがあったの!?」
「私も同じことあったから気持ち分かるよ!」
歩道を歩いていると、前から歩いてきた三人組とすれ違う。
「はぁ……」
思わず、溜め息が出る。
少し羨ましいと感じながら、私は一人で遊びに出かけた。
グニャリと曲がった校門前の枯れ木達。
地面には、沢山の枯葉が落ちている。
元々これが桜の木だったなんて信じられない。
大気汚染が、こんなにもひどくなるなんて……。
今では外へ出る時は、必ずガスマスクが必要になっている。
だが、この町の大気汚染数値が基準値の倍になり、もう住めなくなってしまった。
「なにしてるの?早く行くわよ!」
お母さんに呼ばれ、止めていた足を再び動かす。
まだ卒業まで通っていない学校を後に、住み慣れた町から離れた。
空のあちこちに浮かぶ、光り輝く星々。
月は雲に隠れながらこっちを見ていた。
あと少しで、今日が終わってしまう。
子供の頃は一日が長く感じたが、大人になってから一日が短くなった気がする。
明日になれば再び今日は訪れない。
もう少し、一日が長くなればいいのにと思う。
そうすれば、もっと色んなことが出来るから。
……まぁ、そんなことを考えても時間だけが過ぎ、今日が終わる。
考えてる間の時間ぐらい、止まってくれよ。
スマホの時計を見ると、今日が終わるまで一分もない。
せめて、今日に別れの挨拶だけしておこう。
今日にさよなら。また明日。