たーくん。

Open App
10/10/2025, 10:14:34 PM

住宅街裏にある、二人並んで歩けるぐらいの狭い道。
散歩していると、ブロック塀沿いの地面に一輪のコスモスが咲いているのを見つけた。
ブロック塀のほうに寄り、近くでコスモスを見る。
アスファルトの地面から、力強く咲くコスモス。
こんな所で咲かずに、もっと人がいる所で咲けばいいのに。
ブオン!ブォブォブオン!
大きい音を鳴らし散らすバイクが、私の真横を通過した。
わざわざこんな狭い道を走らなくても……。
しかも二人乗りだし。
どこかで滑って転けたらいいのに……いや、それはそれで危ないか。
再び、コスモスが咲いている地面を見る。
コスモスは、風に揺られてひらひらと踊っていた。
もしかしたら、危険を知らせるために、コスモスが私を呼んだのかもしれない。
……なーんてねっ。

10/9/2025, 10:09:56 PM

ようやく半袖と別れを告げ、長袖がちょうどよくなった十月中旬。
今年三度目の恋を、しようと思う。
春は告白する前にフラれ、夏は暑すぎて恋するのを諦め、そして今……秋!
今度こそ、恋人を作って高校生活を満喫してやるぞ!
「相変わらずバカなこと考えてるな~」
「なんだと!」
隣の席に座っている幼馴染みが、呆れた顔で俺を見ている。
「あんたを好きになる物好きなんて、この学校にはいないわよ」
「そんなの分からないだろ?学校中の女子に声をかけまくったら一人や二人見つかるはずだ」
「はぁ……ま、せいぜい頑張って。見つからないと思うけど」
やたら俺に何か言ってくる幼馴染み。
なんだかんだで、俺達は小さい頃からずっと一緒で長い付き合いだ。
幼馴染みのこいつは、俺のことを一番よく知っていると言ってもいいだろう。
……ま、こいつはこいつで恋を探しているだろうし、俺は俺の恋を探すことにするか。
机の上に両手を置き、枕代わりにしてうつ伏せになる。
こいつと話してたら色々と調子が狂うからな……。
俺は昼休みが終わるまで、寝ることにした。

10/8/2025, 10:09:21 PM

最近我が家にやってきた、ミルクのような真っ白の猫。
可愛くて、家に居る時はいつも撫でて愛でてる気がする。
それ故に……。
「にゃ~ご、猫ばかりじゃなくて私も愛でてほしいにゃ~ご」
妻が猫のように甘えてきた。
「はいはい、よしよ~し」
猫と同じように、妻の頭を優しく撫でて、愛でる。
猫が二匹になったけど……ま、いっか。

10/7/2025, 10:11:33 PM

音が溢れすぎている、うるさい世界。
耳栓をして、音をシャットダウンする。
これで静かになったけど……違和感を感じた。
音を鳴らしながら動いていた物達が、音を鳴らさず、静かに動いているからだ。
皆は音のある世界で生きているのに、自分だけ無音の世界でひとりぼっち。
そう考えると、すごく虚しくなってきた。
……仕方ないなぁ。
耳栓を取り、うるさい世界へ戻る。
あー……やっぱりうるさい。
でも、こっちの世界のほうが″生きている″と実感出来た。

10/6/2025, 10:13:43 PM

燃え盛る炎のような形をした赤い葉。
私達はこの葉を、熱葉(ねっぱ)と呼んでいる。
熱葉は取り扱いに注意しなければいけない。
太陽の光にしばらく当てるだけで、燃えるからだ。
だからこうして、暗い倉庫に保管して……。
「熱葉を使って焼き芋焼こうぜ!」
「今日はいい天気だし、すぐに焼けるな!」
悪ガキどもが熱葉を使おうとしている。
まったく……この前注意したところなのに。
「コラ!悪ガキども!熱葉を許可なく勝手に使うな!」
「わ!頑固オヤジだ!」
「逃げろー!」
「誰が頑固オヤジだ!……ったく」
と言っている私だが、実はこっそり熱葉を使って焼き芋にして食べているのだ。
熱葉で焼く焼き芋はすごく美味しくて、悪ガキどもに食べさせるには勿体ないから、こうして追っ払っている。
熱葉を二枚、芋が入っている包みに入れ、今日も焼き芋を堪能するため、山へ向かった。

Next