NoName

Open App
10/4/2024, 12:00:12 PM

今日は街で舞踏会があるらしい。庶民の私には関係ない話だけど、でも羨ましさは少し感じる。
美味しいご飯やスイーツ、煌びやかなお城に装飾品…とかは気になる。そんな事を忘れてせっせと宿題を終わらせる、すると居候の幼馴染の声が窓の下から聞こえてきた。
「おーい!こっち来いよー!」
窓を開けて今は忙しいと、お断りを入れていると。
「どうせそう言うと思って、アレ買ってきたぞー!」
アレ、漂ってくる甘い香りに釣られて庭まで降りてしまった。そこには月の背景に立つアイツがいた。
「りんごのタルト、しかもこの街で一番高い奴だ!」
私がずっと気になっていた、貴族しか買えないと言われている高級なタルトを買ってきていたのだ。…一切れだけ。
「まっ、流石にホールは買えなかったぜ!」
半分に分けて食べる事になった、親にも分けてあげたかったが、親は給仕でお城にいるから無理だ。
「せっかく買ったのに悲しい顔すんなって!」
悲しいんじゃない、お前がそんな気遣いのできる奴とは思わなくて驚いているだけだ。
「んっ〜!激うま〜!お前も、食べろって!」
言われなくても、と木製のフォークで宝石のようなタルトを奥に刺して口元へ運ぶ。うわっ、うっま!?驚いた顔を見たアイツが
「悲しい顔よりいつもの間抜け顔が似合うぜ、お前。」
と言ったのが許せず無茶振りをかますことにした、流石にその言い方はないだろ!?
「?かかってこいよ、ミニ舞踏会もフィナーレだし。」
要望を聞いてくれるとワクワクしているといきなりこちらに跪いて手を差し伸べてきた、おい、こんなことも被るのかよ!!
「俺と一緒に踊りませんか?」『私と一緒に踊りませんか?』
お城から聞こえてくるワルツに合わせて踊る二人、長いようで短かった夜は更けていく。街角で行われたミニ舞踏会は、こうして幕を閉じた。

10/3/2024, 11:59:46 AM

今日も収穫がたくさんあった、なぜか怖がってたのはわからないけれど。
今夜も古来の枕の下に、撮った写真を忍ばせる。
まだ話しかけるタイミングじゃないから、思い出させたら混乱しちゃうから、夢で練習しておく。
貴方と巡り会えたらいいな、前世から様々な障害に阻まれた私達が今世で不自由のない生活を送るの。
待っていてね!

見たことある後ろ姿の子が今日も盗撮してくる、どうやら自分とその子は前世から恋人だと周囲にほざいているらしい。もし本当だとしたら、巡り合いたくはない。
この状況から早数年、助けてくれる人と巡り会えたらいいと思って眠りにつく。
早く諦めてくれ!

10/2/2024, 11:43:36 AM

 これはまだゲーム始めたての頃だった。周年のガチャでたった11連でピックアップをフルコンプをした。
「おい、その運くれ!!」
と友人に言われたのだが、いまだにそれ以来のは起きてない、多くて2つ。これはもう二度とこない出来事だと天井をしながら感じている。
 あーあ競馬で3連単当たっただとか、マーク問題を適当に書いたら全問正解への運を使ったと考えたら…!もちろん、今考えれば推しなので良いのだが。
「さて、今日で7周年。この日のために必死に貯めてきたんだ。」
課金?してない、課金の沼は恐ろしいと聞くからね。今回のピックアップにも推しがいる、今まで推しをコンプリートしてきたんだ!絶対に、取るぞー!
「ごはんよー!来なさーい!」
と、いったんアプリを閉じてご飯を挟む。流石に食事の時にスマホはちょっとお行儀がアレだからね。
 ご飯を食べてしばらく家族とテレビを見ていた。よくあるクイズ番組、頭の良い人が多答クイズで世界の偉人をすらすらと答えている。
『奇跡、奇跡の全問正解!!なんと、○○、これまで誰も成し遂げたことのない完全防御!!』
奇跡、はっ!?とリビングをドタバタと抜け出して自室で携帯を取り出してアプリを開く。まだ、ガチャ画面のままだ。高鳴る鼓動が部屋の空気を包む、そして引くボタンを押す。
…あれ?全然ロードが終わらない、不安と期待を感じ三分が経過。まだ、終わらない。と思ったら、いつもの画面へ。最低保証の演出が昇格に変わる。さあ、あの奇跡をもう一度!また、見せてくださいお願いします神様仏様運営様!!

よっしゃーーーーー!!!

Miracle comes twice.

10/1/2024, 2:41:16 PM

黄昏の時にたそがれる、ははっ。
そんな事を考えながらパックジュースを飲む。
我慢できない衝動が身体を乗っ取る。
連絡を全て拒否して、落ちようとする。

「止まって!」と腕を引かれて転ぶ。
私を止めたのはこの世の者とは思えないほど綺麗な人。
「今井さんだよね?」と聞かれ、頷く。
「ライン交換してなかったから、聞きたくて。」
いや、そんな理由か!とツッコミたくなった、笑った。
遠くまで来たその人の努力を無碍には出来なかった。

9/30/2024, 1:54:45 PM

「きっと明日も会えるからさ、落ち込むなよ。」
そう微笑んだ貴様は、細く衰えていた。私に願えば、病魔を気にせずに未来を過ごせるというのに。
「後少しで、回復するから!退院したら、一緒にゲームしようぜ!」
黄泉への旗が立つ、どうにか壊さないと。壊すしかない、後で病魔を人為的に消しかけたやつも含めて。
「決して俺を治そうとするなよ?力を使ったら、借りが出来ちまうからな。」
その言葉でも笑顔は崩れなかった、言い訳は思いついている。毎日部下に言い訳をしている、信頼もできない部下に。
『じゃあ、その借りとやらを返すぞ。』
孤独な神である我と、友達になってくれたという借りを返すまでだ。貴様の体から、ありとあらゆる病魔を破壊する。今も、そして、これからも。
『これで対等じゃろ?』
「相変わらず、お前はウザい神だな。」
『はっはっはっ、褒め言葉じゃよ。』
…これできっと明日も、なんて言葉が無くなる。いや、無くなりはしない。

 きっと明日も、貴様と過ごせるな。

Next