「私、レモン好きなんだよね。」
「分かる〜、檸檬いいよね〜。」
「あの酸っぱさがいいんだよね。」
「あの心理的な酸っぱさは魅力だと思う。」
「物理的じゃね?」
「素材は、年月立てば酸っぱくなるかも?」
「(皮の話か?)」
「おっ、盛り上がってるじゃん。何話してたん?」
「今二人でレモンの話してたの。」
「Lemon?結構話題だったけどねー。やっぱ名作は色褪せないか。」
「めいさく?(腐らない品種なんてあったか?)」
「分かる、言葉の使い方が神がかってるよね。」
「やっぱさすがとしか言いようがない、ストリーミングで毎秒聴いてる。」
「(最近の朗読の話かなぁ?)」
れもんはすれ違う。
カーテン、外と内の仕切りとなりし布。
時には光を和らげ、時に闇を感じさせない。
明るい景色を通さず、夜空を封印する。
くるまったり引っ張ったりした幼少期、毎日広げては閉じての繰り返しをした青年期、洗濯をするようになった成人期、動かせなくなった老齢期。
カーテンは、第四の壁を具体的にした幕をも指す。
そう、カーテンとは遮断や遮絶の象徴である。
僕は君の心のカーテンを開けられずに、見送った。
自身がこんな種族に生まれたばかりに、ああ、種族との縁をカーテンが仕切ってくれたらいいのに。
ーとある長命種の手記より引用
目の前に泣いている人のイラストがある。
その下には、何でこの人は泣いていると思う?と書いていって選択肢もある。
・悲しいから ・嬉しいから ・眠いから
理由も書けと書いてある。
めんどい、不思議なのはこれが出されたのが国語でも道徳でもなく社会な点である。
とりあえず白紙でだそう、点数にはならないから。
そういう時を発表してください。
「明日の給食が好きなメニュー!」
「後少しでラスボスを倒せる!」
「好きな人に告白された時の帰り道!」
「単発ガチャで推しのピックアップが出た!」
「テストでいい点数取った。」
「志望校の判定がAだった。」
「誕生日に好物を出してもらえた。」
「国公立大に合格できた。」
「…これから行きたい場所にいける。」
こころが踊る時、それは喜びを示す時。
期末テストが終わったー!!
でも、翌日返却なんだよなぁ…!
チョー緊張する、紛らわす為に今日は家帰ってめいいっぱいゲームをするぞ!
今日の為に必死に耐えてきたんだ、アプデが来てたりしたから楽しみだな。
帰路について、道端の石を蹴る。途中でいくつもの障害物があったけど、家まで持ち帰ることができた。
って言っても別になんでもないけど。
「ただいまー!」
返事がしない、いつもなら親か兄妹の声がするはずなのに。偶然いないだけと踏んで、部屋に戻る。
でも、心配だからリビングに行ってみる。
そこには、いた。すぐにでんわした、大人がたくさん来て、あかいピカピカが窓の外に。
しばらくして、はんにんはつかまった。かぞくの命にべつじょーはない、まだいなくなってないのを安心した。
気持ちが落ち着かない、せっかく期末テストが終わったのに、なんで。
束の間の休息って、本当に短いってことを実感させられた僕の記憶ですね。