「かわいい!!」と素直で跳ねるような
可愛らしい音を出すあの人は、
他人を愛し、自分のことも愛せる人。
私はそれを真似するように、その言葉を吐く。
友達の新しいピアス、
新しい髪型、
あの子のストラップ。
「かわいい」と。軽く、違和感なく。
でも、言うたびに自分の言葉が宙に浮く。
ただ、嫌われたくなくて、
もっと自分を求めてもらいたくて。
その一心で溢れる言葉のように、
私の音は不協和音のように響いてしまう。
あの人のような純粋さが欠けたよう。
私の言葉は、塗り潰された
汚れた音にしか聞こえない。
自分を愛せれば貴方のようなその綺麗な音を
私にも出せるのかしら。
【No.22 #cute!】
一輪の花が咲く。
たとえそれが地味に見えても、萎びて見えても、
そこには沢山の蝶や虫、鳥たちが集まる。
深く張った根っこが土壌を強くする。
いつか死を迎えても、それを虫たちが食べて、
土壌は肥え、新しい種の糧となる。
自身をどれだけ嫌っていても、
醜く感じていても、
きっと何処かの誰かにとって大切な存在となる。
何処の誰かは分からないけど、
きっと自身の一部でも愛してくれる存在が
あるのなら、それは生きる意味となるのだろう。
これは凛と咲いた花のようなあの人が
去り際に私に向けた春風。
【No.21 #一輪の花】
ふわっと風が肌を撫でる。
花びらが舞い、一瞬にして
辺り一面が桜色に染まる。
たくさんの笑い声に包まれて、
暖かい空気に呑まれていく。
目の前のあの人を捕まえたくて。
届きそうなあの人の服の裾を掴みたくて、
パッと手を伸ばした。
不意に冷たい空気が身を包み
枯れた木々が目に映る。
誰もいない虚空に触れた私は我に返った。
春の魔法にかかった私は
あの日の温もりを求めて。
【No.20 #魔法】
君と見た虹は、
なんだかぼやけていて見えづらくて。
でも暖かくて鮮やかで、
目が痛むくらいに美しくて。
きっと独りで見ただけでは
“美しい”
だなんて思えなかった。
あなたがいなきゃこの虹の価値を見出せない。
一緒に見てくれるだけでいい、ただずっと隣であなたのその表情が見れればそれで良かったのに。
【No.19 #君と見た虹】
君は今、何をしていますか。
自分を縛って、苦しくて苦しくてしょうがなくて。
何もかも持っていて贅沢者なくせして不自由な日々をおくっていますか。
完璧なんてないし、誰も完璧なんて求めてないし、期待なんてしてないのに。
要らない不用品にはなりたくなくて、必死に縋って、自分を偽って。
どうにかしたいって強く望んで努力してもどうしても変われなくて。
どうか、いつか私がもっと我儘になれますように。
【No.18 #君は今】