ふわっと風が肌を撫でる。花びらが舞い、一瞬にして辺り一面が桜色に染まる。たくさんの笑い声に包まれて、暖かい空気に呑まれていく。目の前のあの人を捕まえたくて。届きそうなあの人の服の裾を掴みたくて、パッと手を伸ばした。不意に冷たい空気が身を包み枯れた木々が目に映る。誰もいない虚空に触れた私は我に返った。春の魔法にかかった私はあの日の温もりを求めて。【No.20 #魔法】
2/23/2025, 4:16:20 PM