風雪 武士

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1/19/2026, 5:32:18 AM


閉ざされた日記。

閉ざされた日記を僕は紐解いた。
昨日までの膨大な出来事が書かれている。
この日記は一つだけ出来事を書き換える事ができる。
僕は中学一年生時代のページを開き、(優秀な家庭教師から3年間勉強を教われる)と書き直した。
日記からまばゆい光が放たれて、僕を包みこんだ。
なんと、中学一年生時代の自宅の食卓にタイムスリップした。
「家庭教師を雇ってほしい?なんでだ?」
父は聞いた。
「僕は勉強が苦手だからこのままだと挫折する。家族に迷惑をかけてしまう。それが嫌なんだ」
僕は答えた。
「…将来に役立つ事だし、いいだろう。ただ田舎だから探すのが大変だな…」
「ありがとう!」
こうして僕は高校は進学校に入学し、卒業後は公務員に就業した。
職場で出逢えた女性と結婚し、一人の子供を授かり今日に至る。

残念ながら過去に戻って人生をやり直す事は誰にも出来ない。
与えられた能力、条件で日々生きていくしかない。
たった一度の人生、明るく楽しく後悔のないように歩みたい。


1/18/2026, 5:19:23 AM

木枯らし。

木枯らしが吹く深夜に男が駐車場にいる。
「ピ−ピ−」。
僕は暗闇に向かって口笛を吹いた。
すると青い目が二つ光り、こちらに近づいて来た。
野良猫だ。
頭が茶色、体は白、しっぽが白黒のトルコ猫。
タ−キッシュバンである。
ペットショップにいてもおかしくない美しい猫だ。
左耳が少しカットされた去勢済みのメス猫である。
僕はエサを入れた皿を差し出した。
トルコ猫はエサにがっつき平らげた。
「相変わらずいい食べっぷりだな」
僕は話した。
「いつもお腹が空いていたから当然よ。今日は遅かったじゃない」
トルコ猫は鳴いた。
男と猫はスマホの猫翻訳アプリを介して会話している。
「仕事が長引いたんだよ」
「仕事?」
「君らの狩りみたいなもんだよ」
「ふ〜ん、あなた達もそんなことしてるのね。てっきり好きな事をして遊んでると思ってたわ」
「それはないな」
「ところで、いつもタダでご飯いただいて悪いから、お礼に今度ネズミを持っているわ」
「いや、大丈夫!気持ちだけ受けもらっておくよ」
僕は丁重にお断りした。
「あら、そう、なんか悪いわね」
「その代わりにマッサージをさせて」
僕は猫の頭を撫で撫でした。
トルコ猫は気持ち良さそうにしている。
「レディに言う事じゃないが、トイレは川岸でやってくれ、くれぐれも人に迷惑かけないようにな」
「分かってるわ、他の野良猫にも言っとくわ」
「そうしてくれ。あと、猫ハウスに湯たんぽ入れておいたから」
「ありがとう、助かるわ」
「トルコ猫ちゃん」
「何?」
「死ぬなよ!車や悪い人間には気をつけろよ!」
「分かったわ!あなたもね!今日もありがとう!」
野良猫は暗闇に消えていった。

なんてことが出来れば人と猫が共存できるのに…。

1/17/2026, 7:12:48 AM

美しい。

美しい容姿に生まれたかった。
端正な顔と、身長185センチの逞しい体があれば女性からモテたし、男性には馬鹿にされる事はなかった。
僕の顔は整ってはいるが、老け顔なので二十歳の時にそう見られなかったのが残念だった。
人からブサイクと言われた事はないが好きな娘とは付き合えなかった。
自分を冷静に分析すると。
顔は並。
勉強は出来ない。
運動神経は悪い。
不器用。
性格は良い。
特技は口が上手いことかな…。
会話でよく人を笑わせたりするが、お金儲けにはつながってない。
口は災いの元、無口だとしても愛想良く挨拶してれば嫌われることはない。
だから、口下手でいいので、勉強が出来るように能力を変更したかった。
そうすれば公務員になれただろうし、生活も安定し、幸せな結婚が出来て親孝行もできただろう。
だか、能力はゲ−ムのように変更出来ない。
与えられた能力で勝負するしかない。
容姿は年を取り衰えていくが、中身は美しいと思われたい。



1/16/2026, 6:45:27 AM


この世界は

この世界は変化している。
僕が子供の頃はパワハラ、セクハラが当たり前だった。
担任の先生や少年野球のコ−チに叩かれたり、蹴られたりした。
じいちゃんや親父には怒鳴り散らされたので、お陰で人の顔色を伺う性格になってしまった。
子供なんだし、何かまずい事をしたのなら諭してほしかった。
その子供の性格や能力を考慮して教育してほしかった。
のちに、担任の先生が頭が醜くハゲたからざまあみろ!!と思った。
少年野球チ−ムは弱いまま。
軍隊みたいな指導よりも理に叶った練習しないと強くなるわけがない。
じいちゃんの葬式は悲しいフリをした。
感謝もしてるけどそんなもんだよ。
親父の葬式は育てもらった恩義があり、男は人前で泣くもんではないと堪えたが、無理だった…。
現代は、人権がより大切にされるいい時代になった。
何かトラブルがあり、声を上げれば誰かが助けてくれる。
困った事があれば、スマホで検索すれば色々と教えてくれる。
ああ、生まれるのが30年早かったな…。
僕が若い頃にスマホがあれば、つまらない事にくよくよ悩んだりせず、もっと楽に賢く生活できたな…。
現代社会の課題、コロナの攻略法は分かったし、あとは夏の暑さを克服するだけだ。
世の中は日々変化している。
人生いい事ばかりではないが、悪い事ばかりでもない。
僕が出来る事は、野良猫の喧嘩をとめるくらいだ。この世界は、明るく楽しいと思えるように生きて行きたい。



1/15/2026, 9:14:55 AM

どうして

「今までありがとうございました。お世話になりました」
マリスは丁寧に挨拶した。
「どうして仕事を辞めるんだ?今まで頑張って来たじゃないか!もったいよ!もう一度考え直せ!!」
僕は必死に説得した。

なんて職場で働きたかった。
若いのなら、将来を考えて稼げる職場に転職した方がいい。
むしろ賛成だ。
会社の業績はいい。
なのに社員に還元されない。
過去に店長が二人退職するのを見た。
理由は聞かなくても分かる。
報酬が良ければ仕事を辞めてわざわざ転職なんかしない。
仕事に見合った給料が貰えるなら、僕も店長に挑戦するがとてもそんな気にはならない。
この会社でずっと仕事したい。
将来は店長になって、いい生活がしたいと思う環境じゃないと未来はない。
社員が会社を支える。
それを分かってもらいたい。
社長には会った事はないが、職場の待遇が我々従業員への答えだと思う。
だから興味がない。
社長と話して胡麻するよりも、来店して下さるお客様とお話する方が有意義で楽しい。
色々な社員がいるが、休憩時間に漢字の勉強をする外国人従業員には驚いた。
当然、仕事も優秀だ。
そんな人達は会社を見限って転職した。
人はなかなか育たない。
ましてや外国人なら尚更だ。
様々な思いを抱きつつ、今日も僕は働く。



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