「君が見た夢」
気怠い朝
私はトボトボと
リビングへ向っていく
おはようと
君が笑っていた
私は驚き、戸惑いながら
ちぐはぐな挨拶を返す
君はそんな私を不思議そうに見つめ
心配した言葉をかけてくれる
その様に胸がしめつけられる
こんな事は起こり得ない
私が望み
君が望まなかった
未来の風景
私の願望が見せた現実とは反転した世界
ああ、これは夢なのだと自覚する
まぶたを開けると
夜の闇と私の部屋
私を突き放すような救いのない日常の景色
暗いベットの底から一人、祈る
どうか君は悲しい夢で目を醒まさないでおくれ
「星になる」
嫌われ者だった
だから
嫌な奴になるのは簡単だった
邪魔者だった
だから
いらなくなるのは必然だった
仲間になれなかった
だから
利用されるのに慣れていた
卑屈な生き方だと自分でも思う
だけど
歪んだ性根は自分では変えられなかった
他人との生き方を知らず
幻想ばかりを追い求め
現実に打ちのめされ
墜ちる
落下の冷たさを味わいながら
空に見下ろされ、知る
夜空で輝く星のように
私は誰かと隣りあえず
独り地表を這いずるのだ、と
「スノー」
白の世界が重なる度
音が消えていく
白く透明になっていく世界で
やがて誰の声も聴こえなくなり
自分の声も
鼓動も
何も聴こえなくなり
周囲は白い静寂だけが残った
春になり
世界が色と音を取り戻した頃
私の周りは白の世界のまま凍てついている
世界に取り残された私は
誰にも必要とされず
いないことにも気づかれない
そんな希薄な存在だった
やがて雪が溶け切る頃に
透明に溶けて消えていく私を
私は冷たい目で傍観するのだ
「夜空を越えて」
隣を歩く
あなたの隣を
あなたにはわからないでしょう?
私がどんな気持ちでいるか
これがどんなに特別なことか
あなたにとっては
他愛ない
ついでの
コンビニへの買い出しの夜道
私とあなたとの距離を
見上げた夜空と重ねる
この空を越えて
あなたの隣で輝けたら良いのに
「ぬくもりの記憶」
私は知らない
私は触れない
失敗ばかり
敗戦ばかり
幾星霜も積み重ねて来たのだ
何度も傷ついて
ズタズタになって
寒空の下で
見窄らしく震えていてる私を
温めてくれるのは自身の腕しかなくて
その度に惨めで暗澹たる気持ちに陥るのに
愚かな私は
普通の人が手に入れる当たり前に
再び憧れて失敗して
再び傷を増やし
ゆるやかに自分を失っていくのだ