「絆」
暗闇の中に
ひとつ光が浮かんでいた
光に向かって
私は必死に手を伸ばす
光は宙を舞い
するりと私の手を掻い潜る
光の動きに合わせ私も踊る
踊るたびに
身体は闇の中で
硬かったり
鋭利だったりする
何かに当たり
身体はひとつ、
またひとつと
削れ、えぐれ、切られ
なくなっていった
やがて
私は宙を舞う光を見上げる事しか出来なくなり
光は天に昇り夜空に群れる星の中に加わっていった
どんなに捧げても
あの光の群れには繋がれない事をわかった私は
目を閉じ
完全な闇の中で
独り溶けていった
「あなたに届けたい」
本当を伝えたいよ
でも、ダメだよね
我慢してバラバラになって
粉々になって壊れてしまうよりも
貴方の困る顔をみる方がきっと辛い
貴方が困ってしまう未来が怖い
だから届けるよ
嘘だけを
逃げる事と嫌な奴をやるのは得意なんだ
「夢を見ていたい」
終わりにしなきゃ
あなたの一言に喜んで
あなたの仕草に胸を弾ませる
これは遠すぎる夢で
心を締め付ける夢でしかなくて
いつか呪いに変わってしまいそうで
あなたの事を想う日々は輝いているけれど
心が曇る時間の方が長くて
終わらせなくちゃいけないと思った
バイバイ
私の大切な気持ち
どうせなら
知らなければ良かったって思わせてくれて
ありがとう
さようなら
「静かな終わり」
傷つけてしまった
私の独善だった
あなたのために
なんて気持ち
嘘だらけだ
立場を利用しただけだ
少しでもあなたの心にいたくて
空回りをしてあなたを痛めつけてしまった
あなたは謝罪を受け入れてくれて
優しくて
前と変わらず接してくれるけど
嫌だったよね
痛かったよね
悲しかったよね
ごめんね
あなたにしてあげられる
本当の思いやりは
消えてあげる事だね
安心してね
この夜にとける吐息のように
ちゃんといなくなるから
「手の平の贈り物」
期待していた
他とは違うものを
少し違う物を貰えるのではないかと
でも、現実は優しくなかった
やはり私は有象無象で
あなたの何者でもなかった
この手の平にある物は
ほんの少しの幸せと痛みを同時に運んできた
手の届く場所にいるのに
果てしなく遠い
この苦しみに耐えられそうになくて
あなたから離れるために
私は少しずつ片付けを始めた