お題《どうしてこの世界は》
季節はずれの花が舞う
透きとおる空は
果ての果てまでも
花のように微笑む君
想い出しては
青に泣く
「ずっとそばにいるよ。あなたは泣き虫だから」
錆びついてしまった機械と同じ
あの日 あの時に 心止まって
もう、奏でない
君と、過ごした美しい日々
季節はずれの花が舞う
枯れ果てた空は
いつ明けるのか
虹のように輝く君
想い出しては
追憶に逃げる
「好きなものがちがっても分け合えばいいじゃない。幸せって分け合うものでしょう? あなたの幸せをわたしも感じられるって……幸せだよ。だってわたしが大好きな人だもん」
君は、いつも笑って、泣かない
――僕が泣くから
君をまもりたかった
この手を、はなしたくなかった
この手を、はなした
「幸せ、だよ。僕は」
吐き出した想いは
レモンのように、澄み渡る
レモンのように、沁み渡る
「だって君が、笑うから」
季節はずれの花が舞う
僕の真上で
僕のそばで
お題《夢見る少女のように》
美しい物語を夢みてる
ずっと待ち続けてる
救いの手を
運命の人を
でもこれは永遠に解けることのない夢
夜 悪魔は囁いた 呪いの言葉を
「お前は愛する者を死へと誘う花だ。お前に死の選択はない。――あるのは“死”にゆく者の、呪いを聴くだけだ」
美しい物語を夢みてる
ずっと憧れ続けた
たったひとりを
不変の愛を
夜 愛する者は囁いた 毒の想いを
「花に心はない。この悪魔の花め、お前さえ現れなければ」
《途中書き》
お題《光り輝け、暗闇で》
時代の狭間にゆれる
ゆらゆら漂って
ゆらゆらカゲロウ
教室の空白
心は落花
誇りもない
自信もない
自分もない
ないないない
ないないない
なにも、ない
生きていたい
死にたい
なんで、と問われても
生きているから
死にたいんだよ
死にたいから
生きているんだよ
ないないない
ないないない
なにも――ない
それでもいい
それでも、いい
心は落花――でも
風花になれるんだよ
お題《静かなる森へ》
混沌たる世界の終焉へ
忘れじの彼方へ
落ちてゆけ
落ちてゆけ
落ちてゆけ
世界の構築
物語の再生
つづられたのは
レガシー
青い星の
遠い遠い
夢見の物語
記録少年は想う
空白少女を
この少女の
すべてを、ここにしるそうと
ここは静かなる森
ここは忘れじの森
ここは終焉の果て
君の墓標
お題《届かない……》
綴ることで強くなった
綴ることで弱くなった
綴ることで杖にした
命をつづり
夢をつづり
自分をつづり
それでもはてしなくつづく とおい みち
けっして世界はきれいでもやさしくもない
それでも信じた たったひとつのみち
綴ることで世界が広がった
綴ることで痛みを知った
綴ることで繋がりができた
命をつづり
夢をつづり
自分をつづり
それでもはてしなくつづく とおい みち
けっして世界はきれいでもやさしくもない
それでも信じた たったひとつのみち
いくつも捨てた夢の屍
いくつも捨てた本音
いくつも歪めた、人生
ねえ願うなら「始まりから終わり、その先まで、永遠に綴らせてよ」
他にはなにもいらないから
ひとつくらい、叶えてよもし神様がいるのなら
生きる意味を
いつか終わりがあるこの命を
綴らずに消えてしまいたくない
綴らずに生きていたくはない
才能なんてなくても
ひとつも可能性なんてなくても
たったひとつのみちでいい
それでも信じた このみちがいい