椿灯夏

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2/26/2025, 1:08:37 PM

お題《記録》


人は忘れてしまう生き物だから

だから物語を綴り

歌にして記憶を語り継ぐ

いつかの遠い未来で

あなたへと託すために


翡翠の蔦に護られるように 

森の海に深く眠るアンティーク図書館

想いを編んだ言の葉に触れ

誰かの物語を知る


英雄の物語

魔法使いの物語

失われた世界の物語

幸せも不幸もぜんぶたからもの

心の中に星が瞬いて夜を照らす

砂漠の海を越えて

それぞれの心に届けられる物語と歌がある


それは“あなた”へと託された

誰かのたからもの

2/24/2025, 12:01:58 PM

お題《一輪の花》


永遠に咲き続けることができたのならば


あなた様の心に泉をもたらすことができたのでしょうか


枯れゆく運命を変えることはできない


あなたは黎明の不死鳥で


わたしは泡沫の花


「恋をすればお前は――もう花にもなれない。もう、お前はお前でいられない」


魔女の青年が告げたのは残酷な真実



それでもかまわないわ


だってわたしは…………



「オレにとっての花はおまえだけだ」




ブルーモーメントの空を映したようなひとりきりの花は


黄昏の狭間


焼き果てた森の残骸で



黎明のあなたに拾われた


2/23/2025, 11:48:15 AM

お題《魔法》



「“祈り”は一番簡単な魔法だよ。――深い意味ではちがうけど。まあ君にはどうでもいいことか」



祈りは魔法。

ただしそれは現代では通じる魔法じゃない。

夜明けより遠い遥か彼方の時代だ。

夜が支配していた頃の。



――そして。


私には魔法が使えない。


現代では珍しい、希少種として扱われている。


「ああ見て。夜よ。あの忌まわしき夜の……」

「ああ……呪いの子か」



夜は現代では嫌われている。


遠ざけられた夜。


《途中書き》

2/22/2025, 12:27:38 PM

お題《君と見た虹》


これは時の霧がみせる記憶

記憶の神隠しに遭った者が失くしたもの

あるいは――手離した、あったはずの記憶


朧気に存在する霧の森

陽を拒み

夜の底に沈んだ幻

森の奥から聴こえるのは

物語を綴る音

物語を詠む音

記憶の音

ただそれだけが、永遠に流れてゆく



遠いどこかの国の童話に描かれた

美しい虹のはし



おれは識っている


でもそれはおれじゃない、おれの、


錆びた記憶の物語




「――虹の色は感情で彩っているの。今私たちは幸せだから――だね」




――虹の色がみえない



記憶が混ざり合う


ここではすべてが偽りで、不確かだ

2/18/2025, 10:51:08 AM

お題《手紙の行方》
 

風花のように遠くへ流浪する


想いの言ノ葉を探して


何処かにある自分だけの特別な言ノ葉探して


何処へゆけるかわからないけど


何処が終着点かわからないけど


それが幸せで


それが居場所


終わらせるよりいい


旅人でいよう


何処へゆけるか風に身を任せて

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