椿灯夏

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7/11/2024, 11:56:38 AM

お題《1件のLINE》



神隠しの杜。


そこは夏の記憶の中、忘れじの森。



貴女を待っている。



夏の記憶で。――でもそこに《季節》はない。






初夏に舞い込んだのは、忘れたくても忘れられない言葉の森だった。



7/10/2024, 10:41:17 AM

お題《目が覚めると》



春は過ぎ去り命が眠る冬になっていた。


『――おはよう』


旅人の言葉は、どんな言葉よりも優しく重たいものだった。



「……おは、よう」


沈んだ言葉が浮上するには、まだまだ時間はかかるだろう。それでも今、返したかったどうしても。



旅人は何も言わなかった。それでも確かに想いは伝わり繋がっていて、千年たとうが二千年たとうが、オレたちの関係性は何も変わらない。



窓の外では白い花が舞っている、まるでふたりを祝福するかのように。


7/9/2024, 12:41:55 PM

お題《私の当たり前》



日常の片隅空想にふけること。



綴ること。



物語の海を游ぐこと。




ひとりきりの世界に星が瞬き、星の海となる。



ひとりきりじゃない。


私のそばには《物語》があった。

7/8/2024, 12:51:06 AM

お題《七夕》


コンペイトウが散らばる紺碧の空に向かって伸びる竹は、願い事を織姫と彦星に届けようとしているのだろうか。


麦茶を飲みながら縁側で空想にふける。足元で戯れる猫をいなしながら、風に泳ぐ短冊を魚みたいだなと思わず笑ってしまう。


「兄ちゃん願い事なに書いたの? ぼくが彼女できるように書いてあげようか」


「兄ちゃんはモテるんです」


「ほんとに〜?」



台所からこっそりスイカをくすねてきた弟が差し出す、ルビー色に輝く果実を受け取る。





俺が願ったのは――もう、叶えられているけど。


でもいいんだ、それで。


7/6/2024, 10:49:12 AM

お題《友だちの思い出》



日常を便箋に言の葉で綴る。


好きなもの、日常の風景、悩み。


たとえどんなに世の中が発展し流れていっても、一番幸せだった、記憶。



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