月下の胡蝶

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2/20/2023, 12:59:17 PM

お題《同情》



決して交わる事のない道の果てに、何が待つのだろう。ぼんやりとそんな事を思いながらにじむ親友の背。


青と紫の紫陽花が鮮やかに咲いている大通りで、遠ざかる、背。


何度も追いかけて、語り合った背は。





――わかるよ。でも大切なものを失ったからといって、それは赦されない禁忌だ――。




雨が語る真実はまだ、遠く果てしない道の途中にある。



2/17/2023, 11:22:47 AM

お題《お気に入り》


薄荷ソーダ味のキャンディをポケットにありったけ突っ込んで、虹の道へかけだす。



夢は虹色に煌めいて。

2/15/2023, 11:33:33 AM

お題《10年後の私から届いた手紙》




涙の先に楽園はある。


2/14/2023, 11:43:22 AM

お題《バレンタイン》


月灯りで発酵させたチョコレートケーキは満月のように、煌めく。


月光を集める大窓は高い買い物だったが、お菓子づくりには欠かせない代物だ。紅の魔女はたくさんのあかい花を飾った魔女のとんがり帽子をかぶり直し、夜空へ飛び出す。



夜空にあかい花弁が優雅に散る。



今日はバレンタイン。



無気力魔法使いにでも食べさせて、絶対美味しいと言わせる――そう強く誓ってほくそ笑む。




絶対、落としてやるんだからと。




2/13/2023, 11:06:33 AM

お題《待ってて》




出せない手紙は灰になって空に舞う。


言の葉を綴っていた時あんなにふわふわした気持ちは、もうない。



彼は光だった。


教室の中で輝くあたたかい光。



夢見てた世界に少しでも近づきたくて、笑顔の綺麗な彼にはじめて手紙を書いた。――でも。彼の傍で笑う美人で明るい花村さんが隣にいるのを見たら、涙があふれて止まらなかったんだ。





ありったけの勇気をかき集めて書いた手紙でも、叶わない夢。




――またいつか。



手紙を書けたら、今度は渡せるかな。



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