月下の胡蝶

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2/13/2023, 7:29:45 AM

お題《伝えたい》


言葉を綴ることは命を繋ぎ止めること。 

物語を綴ることは命の煌めき。




私にとって、この世界はちっともやさしいものじゃないから。



だから物語を幻想化しちゃうのだろうか。


だから物語に夢を見てしまうのだろうか。



たとえ《最果て》に今いたとしても。


誰からも理解されなかったとしても。





――だから《今》の自分がいいんだ。 



その先に答えがあるよ。


2/10/2023, 10:57:50 AM

お題《誰もがみんな》



強くも弱くもない。


剣と盾を持ち、必死で生きている。



強さも


弱さも



自分で磨いてゆくものだから。



2/9/2023, 3:38:49 PM

お題《花束》



公園を冷たく照らす青い満月。


月下――公園のゴミ箱に詰め込まれた色褪せた花束。


それを無言で見つめる青年。



あんなに愛しい日々を綴り合った恋人は、たった一言だけ言い残して去った。



「好きな人ができたの」




――それがどんなに残酷の言葉か。



――君は知らないから。簡単に告げられるんだろうね。




悲しさも後悔もないかのように、恋人の足取りは軽やかだった。その踏みしめた道には春が咲いているようで、青年とは正反対で。




「もうどうでもいいや。明日世界が壊れたって、僕にはどうでもいい――」




そうぽつり……とつぶやき、青年は歩きだす――その道には冬が、蒼く煌めいていた。





2/8/2023, 11:13:12 AM

お題《スマイル》





遠く遠く聴こえてくる祭囃子。

朱い金魚の提灯がユラユラと妖しく揺れる。


誘われるようにして、訪れたその祭りは誰も彼もが狐面を被り素顔を隠す。ここではこれが《フツウ》なのだろうか――少女の鮮やかな青い朝顔の着物は、どうしたって目立つ。


うつむき加減に歩いていると、ふいに声をかけられた。


「よくきたね。沙也加」

「私の名前――」


カラカラと風に廻る風車を持った狐面の君がたたずむ。



「この世界を泳いでみない? 沙也加なら遠くへ、行けるよきっと」



一瞬心の水面に、薄荷水のように透きとおった誰かの、その笑顔が浮かぶ。



どんな昏い空の下でも輝き続ける――少女は誰の面影だろうとぼんやりと思う。






2/7/2023, 10:50:39 AM

お題《どこにも書けないこと》




命を忘れた者は愚者でしかなく。


優しさを忘れた者は空白でしかない。



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