お題《世界に一つだけ》
あなたの心はあなただけのもの。
そこには、あなたの意志がある。
世界に一つだけの煌めきが。
お題《胸の鼓動》
それは琥珀糖のように煌めいて。
木漏れ日のやさしい午後。
三日月駅にて電車を待っている。
――あの雲綿菓子みたい。あー花さんの花の蜜漬けと花糖菓子たべたいなあ、食感ふわりとして、すぐ夢みたいにとけちゃうの。
あの木見てると、翡翠のクリームソーダを思い出す。泡沫の音が心地いい音色。
そこへふわりとあまい香りが、お腹をくすぐる。
「また甘いものの事考えてたの」
キャラメル色の髪と着崩した制服。
でも貴公子扱いされる、三日月学園の王子様。
(名前なんだっけ?)
「りんごと紅茶のクッキーとハニードーナツ、どっちがいい?」
「はい?」
「甘いもの好きなら、君のおやつは俺が用意してあげるよ。いつも金木犀の丘で甘いもの作ってるから」
「はい! 喜んでお受けします」
これが恋のきらめきなら、なんて美味しいんだろうか。
お題《踊るように》
雨乞い。
少女は踊るように歌う。
粗末な布を纏っただけの少女は、青の王の目にとまった巫女だった。
王を目の前にしても臆することなく、生き生きとした歌を披露した。誰もが歌に聴き入り、そして涙する。
その歌は、天をも動かす。
やがて雨が降りだす。その奇跡の光景に、青の民は抱き合って喜び合う。
美しいな。
僕の価値観を変えてしまった瞬間から、もう目が離せない。
青の王はふっと微笑み、少女の名を呼んだ。
お題《時を告げる》
時の歯車が狂いだす。
なんて滑稽な物語だろう。
「――騙したの」
蒼白の表情で、やっとの思いで紡ぎだした少女。
目の前にいる青年はにこにこしているのに、氷のように冷たい。
「人聞き悪いなあ。オレはちゃんと、君の望む恋人だったでしょ」
“やさしくて、あたたかい。一緒にいると、すぐ笑顔になれる人がすき”
ちがうちがうちがう――……私が!
私が本当に望んだのは!!
「ソルトは、こんなこと望む人じゃないっ」
「――君の知ってる“ソルト”は、でしょ。君は一体“ソルト”の何を知ってるの?(時は告げた)」
「ソル……?」
「夢は終わりだよ。――もうすぐ夜明けだ(さよならオレが、ほんとうに愛した人)」
時は告げる。――終わりの始まりを。
お題《貝殻》
月の海。
月の女神と笛吹きの少年が文を結ぶとき、海は淡い金色に輝く。
砂浜に落ちているのは月真珠の貝殻。
耳にあてると、月の女神の歌が流れてくるらしい。
月の女神。天では星座のみんなとお茶会を楽しんでいる。季節ごとに、その時々のお茶とお菓子を用意する。地では、旅人や自然の精霊たちと文を交わす。想い人と文を結ぶときのみ海が輝く現象がなぜか起きる。
笛吹きの少年
夜の海で笛を奏でるのが好き。笛の音色に惹かれた月の女神が文をよこしたところ、そこから交流が始まり相思相愛になった。ときおり月の女神が、天から降りてくるのだとか。
もし偶然見かけたら、あなたに幸運が訪れるかも?