お題《胸の鼓動》
それは琥珀糖のように煌めいて。
木漏れ日のやさしい午後。
三日月駅にて電車を待っている。
――あの雲綿菓子みたい。あー花さんの花の蜜漬けと花糖菓子たべたいなあ、食感ふわりとして、すぐ夢みたいにとけちゃうの。
あの木見てると、翡翠のクリームソーダを思い出す。泡沫の音が心地いい音色。
そこへふわりとあまい香りが、お腹をくすぐる。
「また甘いものの事考えてたの」
キャラメル色の髪と着崩した制服。
でも貴公子扱いされる、三日月学園の王子様。
(名前なんだっけ?)
「りんごと紅茶のクッキーとハニードーナツ、どっちがいい?」
「はい?」
「甘いもの好きなら、君のおやつは俺が用意してあげるよ。いつも金木犀の丘で甘いもの作ってるから」
「はい! 喜んでお受けします」
これが恋のきらめきなら、なんて美味しいんだろうか。
9/8/2022, 11:31:57 AM