テーマ“たとえ間違いだったとしても”
前から手を振ってくる人がいる
私の前には、その人しか居ない。
知り合いかと思い手を上げかけるが
私の後ろから、その人に向かってかけてくる人がいる。
コソコソと馬鹿にしたように
その二人組はチラチラと見てくる。
たとえ間違いだったとしても
その間違えた人をクスクス笑う人は
ちょっとした、不幸にあって欲しいと思う。
わざわざ離れた所から
間に人が居るにも関わらず
手を振るのはどうかと思う。
間違えた人がとても気不味くなる。
間違えた人が悲しくなる。
同じ思いを味わえ
とか思う。
テーマ“何もいらない”
自暴自棄。
もう全てどうでもいい。
だから、その優しい言葉も
何もいらない。
“テーマ”もしも未来を見れるなら
明日別れる恋人が、ふとボクに
「ねぇ、将来子供…何人くらい欲しい?」
そう言ってくる。
勿論、彼女は、明日ボクと別れるなんて
全く思っていないだろうから
そんな事を言うんだろう。
そして、そもそも〈ボクと彼女の子供〉とは一言も言っていないわけで。
「何人も何も…コウノトリが運んで来るものだからね」
そう告げる。
勿論、実際にコウノトリが運んでくる事では無い事は知っているし
どうやって子供が出来るかは知っている。
ただ、いわゆる子作りをした所で
100%子供が産まれてくる訳でもない事も知っている。
だからこそ、コウノトリと言った。
「じゃあ、もしも、今、アタシのお腹に、子供が居るとしたら?」
彼女は、微笑む。
すごく綺麗な笑顔だなと思う。
「おめでとう。誰の子?って言う。」
「誰の子でも良いのよ。アタシが愛した人の子だから。」
もしも未来を見れるなら
彼女が誰との子供を生むのか
その子供が育って誰に似ているのか
分かる日が来るのか…なんて思ったりする。
でも、ボクと彼女は明日別れる。
それは変えようのない未来。
ボクにだけ見える未来。
彼女は、ボクに気付かれないように
「でも、1番愛してる人との子供は産まれないのよね…」
そう呟いていた。
テーマ“星空の下で”
ふとどうしようもなく
どうしようもない時
気持ちがモヤモヤしている
そんな時
特に理由もなく
空を見上げる。
瞬く星々は、ただ其処で輝いているだけ。
都会ではない。
何も無いようで、そうでも無いような田舎町。
コンビニは24時間営業しているし
何も無い事はない、田舎町。
だけど、都会みたいに
ギラギラしている訳ではないから
星はそれなりに見える。
季節により、見える星座は違うのだろうけど
そこ迄詳しいわけでもなく
多分、アレが、オリオン座
多分、アレが、北斗七星
ってくらいしか分からない。
しかも、合ってるかどうかは謎。
まあ、星座なんて分からなくても
とりあえず、星はキレイだなーとか思う。
そして、結構な時間見上げていたら
「っ……」
首が痛くなってきた。
星空の下で、間抜けな私。
おとなしく、家に戻ろう。
テーマ“幸せに”
人は皆、産まれた時から
幸せになる権利があるらしい。
…果たして本当だろうか。
手枷、足枷を着けられたこの状況で
どんな幸せが待っているというのだろう。
外す為の鍵は無い。
壊す為の物も無い。
そんな中で生きているのに
幸せになる権利など
与えられているのだろうか。
そもそも、幸せとは何なのか。
この手枷、足枷を外されたからと言って
私が幸せに生きていけると言う保証も無い。
だったら、やっぱり私は
このまま此処で永遠に囚われたまま
過ごしていく方が幸せだと
そういう事なのだろう。
愛も恋も夢も
全て与えられなくとも。
研究材料にされていたとしても。
きっと、これが幸せなのだと
そう思う。