テーマ“バレンタイン”
女の子「明日バレンタインだから、大好きな人にチョコ渡すんだ」
ウキウキしながら学校に向かった。
けれど、好きな男の子は、その日は休みだった。
どうやら風邪を引いたらしい。
その女の子は、ランドセルにチョコを入れたまま、落ち込んで帰った。
次の日も、その次の日も、好きな男の子は学校を休んでいた。
1週間後、好きな男の子は元気になって、学校に来たけれど、女の子はもう、バレンタインのチョコを渡す機会を無くしていた。
…そもそも、バレンタイン当日休まれた影響で、もう、どうでも良くなり、特に好きでも無い男の子に「俺誰からも貰えなかった」
と泣かれたせいで、仕方なくチョコを渡していた。
渡したあとに、やっぱ返して!と追いかけたけれど、その男の子は返してくれず
泣きながら、女の子は帰った。
そんなに安くなかったチョコ(小学生にしては)好きな子に渡したかったのに…
後悔しか残っていない。
風邪を引いた子が悪い訳でも
チョコを貰えないと泣いた男の子が悪い訳でも無い(返してくれなかったのはムカついたけれど)
ランドセルにチョコ持ってきたと言ってしまった私が結局は悪いのだと、女の子は項垂れる。
その時から、その女の子はバレンタインが嫌いになった。
…実話。
テーマ“待ってて”
此処で待っててと言われ
ずっと待っている。
何分?何時間?何日?
もう、迎えになんか来ないと分かっていても
もしかしたら、と言う希望が捨て切れずに…
迎えにくるつもりなんか無いのなら
待ってて何ていう必要は無いんだよ。
例え、骨だけになろうが
その骨が大地に還ろうが
ずっと……待ってるよ。
永遠に。
テーマ“溢れる気持ち”
好きだった。
好きでした。
好きすぎて壊れてしまうほど好きだったのに。
好きが溢れてしまった瞬間
零れ落ちた瞬間
とめど無く流れてしまった瞬間。
ふと。
どうでも良くなった。
好きな想いがでは無く、相手にどう思われていようが、好きでいて良かったんだと。
永遠に片想いだとしても、想いが伝わらなくても、手を掴んで微笑んでもらえなくても。
好きだよ。
好きです。
だけどもう、願わない。
好きだよ、今でも。
だけれど、好きだったと
過去形にしてしまおう。貴方だけには。
私の中ではまだ、過去形には出来ないけれど。
テーマ“勿忘草(わすれなぐさ)”
勿忘草の花言葉は
「私を忘れないで」と言うらしい。
由来は、何やかんやあって、まあ、そうなったらしいけれど(雑)
随分、重いなと思ってしまうのです。
人の思いは、とても重い。
むしろ私は、忘れて欲しい…
私という存在を。
テーマ“ブランコ”
「ブランコ、押してあげるね」
そう言った友人は、物凄い力で背中を押してきた。
結構な高さまで行ったから
「もう、良いよ!」
そう言って、後ろを振り返ったら
彼女は手を振って、笑顔で遠ざかっていく。
当然だけど地面に足が届かない。
勢いは、まだ止まりそうにない。
友人が離れていくのが怖くて
思わず手を離した……。
その後、何とか命を取り留めた私。
殆どの記憶は失われ、体も自由に動かなくなったけれど
最後にあの子が見せた、なんとも形容し難い笑顔は
ずっと消えない。
それだけが残っている。
自分の名前も家族も何もかも覚えていないのに。
あの、私を見捨てて去っていったのに、物凄く綺麗な笑顔をしていた、あの楽しそうな笑顔だけはずっと…。