君のその手で何だって掴める。
夢も心も、
幸せも苦しさも、
生きた証も、
なんだって君は掴める。
宇宙のように可能性が無限大に広がっている。
君のその手はとても優しい。
傷だらけで、
人より少し硬くて、
とてもあたたかい、
どんなものより柔く美しい。
宇宙のように私を包み込んでいる。
星のように輝く君の手。
君の手のひらには宇宙がある。
風のいたずら
風が運んできたのは
冬の痛いくらい鋭い寒さ
風が運んできたのは
口いっぱいに放り込みたくなるような
美味しそうな香り
風が運んできたのは
あなたの奏でるピアノの音
風のいたずらに私は微笑む
透明な涙
溺れてしまいそうなほど苦しいのに
溢れることを知らない
焦がしたパンの分だけ、
散ってしまった葉の分だけ、
どうしよもないほどつくった笑顔の分だけ、
喉の奥で詰まったままの声の分だけ、
心を溶かしたくて仕方ないのに
私の頬を伝うのは、透明な涙だけ
あなたのもとへ
自分嫌いのあなたはいつも何処か苦しそうです
笑顔で繕って、弱いところはしまって、独りぼやけた月を眺めているのでしょう。
目の前に咲く花も造花だと言い張り、にわか雨が降りそうだと、そんなことばかり考えているのでしょう。
何処か遠くに逃げたいでしょう。
ずっとずっと遠くに逃げて美しいものだけを眺めてただただ美しいと言いたいだけなのでしょう。
それなのに世界で一番醜いものがずっと側にいて、どこにも逃げられないと言うのでしょう。
私が花をあげても見向きもしないでしょう。
私が落とした石ころにずっと涙を流すのでしょう。
そんな貴方を見るのは心がきゅっとなるのです。
きっとあなたはわからないのでしょう。
わかりたくないのでしょう。
わかれないのでしょう。
全て嘘のように思えるのでしょう。
私はそれが悲しくて仕方がないのです。
あなたの心の奥底から思わず溢れたような、屈託のない笑みが見たい。
自分が好きじゃなくたっていいんです。
ただほんの少し、こんな自分でもいっかと思えるような瞬間があなたに訪れてほしいのです。
誰かと居る時、何かをしている時、どんな時でもいい。
川辺のベンチに座って鳥を眺めている時のような、何でもない時間が、
そうしているだけで思わず愛してしまうような、そんな時間がどうか、どうか、
あなたのもとへ訪れてほしい。
そんなことをいつも願っています。
そっと貴方に触れる
暖かいぬくもりを私の手は感じる
そっと息を吹きかける
雑草がふわふわと踊るように揺れる
そっとコーヒーを淹れる
香る煙に目を瞑る
そっと手を振る
名残惜しさで視界がぼやける
そっと布団をかける
小さくうなる貴方に顔が綻ぶ
今日も私はそっと生きていることを知る
どんなに苦しくても、まるで幻想なのではと思うほど幸せでも、何一つ昨日と変わらなくても、私は今日を生きた。
私はそれをいつか噛み締められるようになりたい。
幸せになれなんて口が裂けても言えないけど、
貴方に傘が届けば私は嬉しい。