べいべべいべべいべ…」
「何を言ってるんですか?」
「いや、何か呼ばれたような気がしておれはフォロワじゃないんだけど」
「そういうメタネタは外でやってくださいよ、所で部長、このスリルなんですけど1匹いくらで売りますか?」
「スリル?こないだ二束三文でアマゾンから仕入れたやつ?いいよ君の適当で」
「雑だなぁ販売促進部部長でしょ、部長」
「そういう君はただの派遣だけどね」
「派遣差別しないでくさい、このスリル、本当に売れるんですかあ?」
「売れるよ。スリルは味とか手触りとかビジュアルじゃない。薬効だからね」
「こんなもんになんの薬効が?」
「まず危機感を感じる、心臓が痛くなる。すぐさま席を立ってその場所から逃げたくなる。効きすぎるとその場で失神、トラウマに長年悩まされる者もいる」
「麻薬じゃないっすか!ここブラック会社だったんですかダメですよ反社は規約に違反してるんです!」
「でもねえ、売れるんだねえ…実際、人間の役にも立つの。薬効だから。毒物でも。」
「じゃあ薬効の方を、」
「まず生きてて良かったという謎の実感が得られる。生きている=自分は何がしかの選ばれし者という根拠のない自信、ご飯が美味しい、たまたま隣にいた女性が美人に見える。もしかして人生ってそんなに悪く無いんじゃ無いかという根拠のない幻想に溺れる。下手すると新しい職に転職したりアーティストに身を落としたり、はたまた結婚したり子供を作ったりする」
「微妙に違法な気がします」
「でも売れるしねえ…まあサタンが喜べば地獄も潤うって言う、それは商業主義の宿命だから」
「ベルゼブブほんとに仕事と人間好きですね」
了
脳の裏は前頭葉ですよ、と思ったけど普通に考えたら後頭葉ですね。確か後頭葉の下部くらいのところにR領域があり、恐竜の脳、獣の脳と呼ばれるような太古の領域が隠れています。近くに海馬もあります。お立ち寄りの際はお越しください。
(今再確認したら大脳奥底ら辺でした。マップを書き換えておきます)
「そのプライドには意味がない、という事は往々にしてあるけれど、残念ながら意地はあるんだよねえ」
とある金閣寺を焼いた男の証言
「大きな栗の木の下でー
あーなーたーとーわーたーしー」
「やめて下さいセクハラで訴えますよ!」
「その東京事変脳、そっくりお返ししますチェスナットツリーは由緒正しい海外の童謡ですなんでも下ネタで盛り上がるロッカーと一緒にしないで下さい。」
深夜のコンビニ、奇跡的にワンオペではない2人組、素子とマリコは次々に消えていくアイスクリームを補充している。
次々に消えていく理由はエルニーニョによって異常気象が観測され、熱帯夜が続いているからだ。令和組の皆さん、考えて見てください。11月ですよ?(肩をすくめ、手のひらを上にするジェスチャー)
私は堅実組の世代です。え、堅実組をご存じない、これだから令和世代はゆるい。
令和にはまだ緑とか牛とかいたんですもんねえ(そっとジト目で煽るジェスチャー)
これから30年後、堅実という年号が来ます。その頃には異常気象と疫病とあとなんかありとあらゆる、天使大発生以外のありとあらゆる災害が起きます。当然人口は減ります。堅実組の我々はあらゆるAIを駆使して同性間だろうが歳を取ろうが遺伝子の組み合わせで子供を作れる環境を整備しました。そして素子とマリコの間に生まれたのが、そう、この私。
私がタイムマシンを作り、素子とマリコに農業を勧める話はまたいずれお話しましょう…
(そっとタイムラインにアイスクリームを流す1人の青年、静かにフェイドアウトする)
「エルドラド」「それは黄金郷」
「房のある瞼を持つ王の意故に」「哀れここはドリームランド」
「1984」「ディストピア」
「探せそこに全てを置いてきた」「ラフテル」
「スウィフトが!」「行ったかのように見せたのはジパング!」
パシーン!ベルトを机に叩きつける音がしてソフトサディストの家庭教師、恵さんがキレ散らかした。
「アンタは!いつになったら理想郷の別名が脳から出てくるの!」
「令和の学生に理想郷という概念はありませんよ…」
「架空の概念でいいのよあんたら放課後いつも話してるでしょ一回死んで生まれ変わった先が別天地ですみたいなアニメの話!」
「あれは学校とヒエラルキーがないだけで理想郷じゃないですし縛りも大きいんですよ生まれとか特殊能力とかクラスが決められてるとか…」
「放課後までクラスの話してんじゃねえよ!ファンタジーくらい夢に遊べや!」
イライラと恵先生は話題を畳みだした。メタ発言をすると文章小窓が狭くて限界があるからだ。
「ね、誠くん。最後に聞くけど理想郷の別の言い方は?」
うーんと考え込んで誠は答えた。
「アキバですかね」
パシーン!恵先生が机を人叩きして叫んだ。
「内容が無いようで!」
「あ、先生それ僕が言いたかったなあ…」
了