たくさんの思い出
「さわやまくんの思い出」
さわやまくんはいいひとです。
ちょっとせがひくくてすこしこがらで、おでこがひろくて、ていうかかくがりみたいになってて、あたまをさかさまからなでるとゾリゾリザラザラしていたくないサボテンみたいで楽しいです。
私が笑うとさわやまくんもわらいます。
さわやまくんがわらうと片方だけ八重歯があってネコのキバみたいにキラッと光るのです。
さわやまくんはいいひとなのでいつも怒ったりせず笑っています。
私はとくべつに沢山君と大親友じゃないけど、さわやまくんのこときらいなクラスメイトはいません。
わたしは時々からかいすぎたかな?と思うくらいさわやまくんの頭を逆に後ろからゾリゾリなでますがさわやまくんが怒ったことは一度もありません。
さわやまくんは良い人です。
だからさわやまくんが落っこちた弟を助けようとしていっしょに落ちてしまったのはしょうがないことで、さわやまくんだからやっぱりそうするだろうなあとわたしもおもうのです。
だからさわやまくんのおかあさん、さわやまくんをおこらないであげてください。
かみさまもさわやまくんのことがっかりしないであげてください。
さわやまくんはさわやまくんだったらかならずするだろうなあと思うことをしたので、わたしはさわやまくんにあったらたいへんだったね、がんばったねっていいます。
どうかだれもさわやまくんのことざんねんだったねって言わないでください。
3年2組 にしださちこ
はなればなれ」
「そうはなればなれた方が良いのだが、いつまで経っても慣れないねえ…」
「慣れませんか?」
「なかなか慣れないなあ…君まるで気にしてないよね」
「いい加減慣れましたよ…多少淋しいような所もありましたけどね。
…いやあ、ハルマゲドンで勝っちゃうとは思いませんでしたよ。いまや新人悪魔の私もそこそこの地位に成り上がってしまいましたよ!」
「俺はさあ、あくまでアンダーグラウンドでの抵抗者で居たかったの!わかる?サタン(抵抗する者)のロマンね!報われないとか!なんか悪そうとか!黒い革ジャン!ヤギのツノ!ヘヴィメタルとゴツゴツしたオートバイ!」
「ベルゼブブの認識ってだいぶ古いですよ。アプデしてください。今流行りはエコな殺戮!価値観の転倒!善良な悪と頭の固い硬直した善!シルクのような柔らかいガウンみたいなの着て羽をパタパタやってる奴は大体敵!そういう感じね!」
「おっ いま急にタメ口になったねお前!」
「価値観のアプデです。今や新人悪魔にも権利があり、ベルゼブブとも同等!お前呼びやめてね!」
「うっわやりにくくなったなあ…誰だよこんな世界作ったのはよう…あ、こないだのハルマゲドンで統領がやっつけちまったよなあ、シクったわー」
(特に落ちることもなく茶番劇は終わるが、怒ったパラレル世界のゼウスが雷を落としまくるので舞台はやがて焼け野原になる)
秋風」
新人『風が涼しくなりましたよね。ウチ猫、電気ストーブに当たり出しましたよ」
部長「ひとりで電気ストーブつけはしねえだろ、誰かつけてやってんだろ。例えばお前とか。」
新人「見方によればそうとも取れるかもしれない」
部長「そう以外には取れねえよ。おれんとこマロンちゃんはペット炬燵入ってるからね」
新人「部長んとこのイヌ!マロンちゃんて言うんですか!(クソデカボイスからの爆笑)」
部長(気まず気に)「笑うなよ…ペットにありがちな名前だろ…おやつとかの名前でさぁ。じゃおまえんちの猫なんて名前なんだよ!」
新人「ぶぶ漬けちゃんですね!(自慢そう)」
部長「出されたらそこで帰らなきゃならないの⁉︎」
(見遥かす舞台は黒く闇の川のおもて、そこに一陣の冷たい風が吹き渡り、ススキの銀の穂波が揺れれば既に海。ざわりざわりとうねり蠢き、しだいに新人と部長を乗せて花道を伝って無理やり退場させていく)
意味がないこと」
新人「まあ基本は戦争ですが、あれ参加してる人には意味があるのでクレーム来ます。」
部長「ジョンレノンだって何にもないって歌ってるし般若心経も結局何も無いって言ってるんだから、基本何も意味はないんだよ。」
角谷「生きてる間にどれだけとち狂うかの差じゃね?」
石井「よしここら辺でピザを頼もう」
懐かしく思うこと」
新人「いや一時期の渋谷ハロウィンとか狂気でしたね!」
部長「行くなよ」
新人「行きませんよ一升瓶持った男が暴れてたり軽トラの荷台をトランポリンにしてたりするんでしょう?」
部長「そう言われるとなんか、男ばかり責められている様でむず痒い所あるな」
新人「あーまあ男女問わずなところありますが星飛雄馬の時代から男が一升瓶持ってると絵面としてわかりやすい星飛雄馬のお父さんですからね」
部長「お前気軽に星飛雄馬のお父さんとか言うけど見たことあるのかよ!(逆ギレ)」
新人「ぶっちゃけちゃぶ台ひっくり返すシーンをバラエティの再放送で見ただけです!」
部長「世の中多様性がってなってるから雑いことやってると十字架に荒縄で括り付けられるぞお前。」
新人「ゴルゴダの丘を!登らされるんですか!主役ですね!」
部長「その知識も飽く迄イメージだろ?」
新人「たまにバラエティとかでミッションとか、まあそういう映画のあらすじを聞いただけですね」
部長「大概のことはイメージなんだよ。だからイマジン…想像してみなさい…今日はハロウィン…大統領選挙前…何が起こるかわからない…」
新人「つまり世界はミラクルに溢れていると!」
部長「お前俺の話聞いてた⁈ 今日門限16時だからね! 寄り道しないこと!おやつは三つまで!」
(部長の親心が爆発して収拾がつかなくなり、中途半端に終わる)