「雨音に包まれて」
おはようと言い続ければ何か変わるだろうか?
確認した。
何も変わらなかった。
笑顔を作り続ければ何か変わるだろうか?
確認した。
何も変わらなかった。
様子を見続けたら何か変わるだろうか?
確認した。
最悪の事態が起こった。
第一印象が自分で選んだものである限り、それは高確率で正しい。
自分はそのように感じる生き物だという事は、だれがどう言いくるめようが変わりはしない。
雨音を耳の中に垂らして耳を塞いだら
自分の心臓の音を聴け
他人は全員お前じゃない
「渡り鳥」
渡り鳥は行く鳥なのか帰る鳥なのか?と話し合ったことがある。
野生動物のドキュメンタリーフィルムを観ていて、白鳥が飛び立って何処かへ向かって飛んでいた。
「あれは、行く鳥なの?帰る鳥なの?」
彼は少し困った様に思案して言った。
「基本は何処かに行くんだろうけど…去年は回り回って目的地から来たんだろうから…帰りとも言えるのかな…」
「ずっとハードル超えが止まらない陸上競技みたいね。」
「うん、でも、」
彼が横で言い淀みつつ、フィルムの白鳥を見遣った。
「飛んでる時は一匹ってわけじゃないだろう。誰かしか仲間がいて、集団で動く。
その、飛んでる時に常に横に仲間が居るなら、
それは、行くんでも帰るんでもなく、
その日が「今日」で、そこが「居場所」なのかもしれないよ。
私は白鳥から目を外して、彼の横顔を見ていた。
「ポップコーン作って頂戴、今すぐ。」
「もう21時だよ?」
「今から映画観ないと押し倒すよ。」
ポップコーンをひっくり返したみたいに彼は笑い出して、私のためにキッチンに向かって歩いて行った。
勿論、十数分後には、塩バター味のポップコーンを持って、彼は「帰ってくる」。
了
「君の名前を呼んだ日」
君の名前は呼ばない。ずっと、一生。
どうしても…」
国内文学が好きになれない。
矢鱈に自分を呪ったり卑下したり不幸のどん底は自分だけでございますと身の上話を延々と聞かされるかと思いきや、突如方向性を変えて他人をとっ捕まえて粗探しをしては、その人間を最底辺の人間の惨めな一生24時間見物ショーに仕立て上げたりする。
兎に角、娯楽というのは最底辺のことを指している思っているかのようだった。
汚いものしか見る物はないかのような浅ましさが好きになれなかった。
そうでなければイジメに不倫に格差にイヤミス、毒親に親友に嫉妬、つまりこの国には見るべき価値のある人間なんて生存してないかのような書棚が永遠に並ぶ。
さっくり言えば人間、それ自体が好きじゃないのかもしれない。
勿論、動物と自然を愛する自分は善良な人間で御座いますアピールにもウンザリしていた。
今でも国内文学はほぼほぼ好きじゃない。
「まだ知らない世界」
新人「未到達!」
部長「またそんな勢いだけで特に意味のない台詞で字数を稼ぐ…」
新人「なんとなく今の勢いでコナン・ドイルの『失われた世界』を思い出しましたがそれはともかくとしてですね」
部長「知らねえよなんだよ」
新人「新人、新人初めて一年超えましたが未到達の世界があります!」
部長「勿体ぶらずにその先を」
新人「部長が卒業したら嫌も応もなく私が部長になれるんですよ!」
部長「お前一人なんだから廃部に決まってるだろ。でもサザエさん世界なので永遠にお前は新人です。」
(背後からカサコソと物音がして以前ゲストキャラとして一瞬出て来たモブキャラの栗乃木さんがどう名乗り出たものか思案しながら挙動不審でこちらを見ている)(なかまにはいりたそうだ!)