ゆいに

Open App

今を生きる


「なんかありましたね。何でしたっけ?映画のタイトルかなんかですか?」

「ポピュラーすぎて俺も思い出せん。ちょっとググってきてくれ」

「ヒューマン名画ですね。私観たことありません。ロビンウィリアムスが鬼門でして、まあ今年初めてグッドウィルハンティング観たとか、あと奇蹟の輝きと…今年見たのが最後の出演作、あれはしょっぱくてなかなか良かったですけどね。」

「嫌いな割に語るなあ」

「映画研究会ですから」

「ロビンウィリアムスそんなマズいか?」

「顔の圧がリアクションを強制してくるところが我慢ならないですね」

(部長、思いの外大きなリアクションで頭を抱えて無言で必死に笑いを堪えている)
(ヒーヒーと苦しい息の下から台詞を絞り出す)

「……いわゆる善人面問題か!でもお前、アレがデフォルト顔だったらロビンウィリアムスが気の毒でしょうがねえだろ」

「フィクションなんですから人権だろうが好き嫌いだろうが関係ないですよ。顔を見た瞬間にしなきゃならないリアクションが決定してるんですよ寧ろソフトを選ぶ時点、映画館に入る時点でどうリアクションするべきかが決定してるんです」

(部長更に無言でウケて腹を抱え、既に声を出して大笑い)

「……ま、まあアレだよな、確かにロビンウィリアムスを逆張り使おうって映画は最後の作品くらいなのかもしれん。基本はお茶の間顔だな。」

「教室顔です」

「……うむ……うむ……わかった、今度俺とホラー映画でも観に行くか」

「汚いゾンビは無しでお願いします」

(なんらオチもなくいつもの部活が平凡に終わる。然し部長と新人の財布の中にはシネコンの割引き券がしこたま入っている)


7/20/2025, 11:19:35 AM