この恋心に目を向けてはダメ。
なんでもないフリをして今日も貴方の隣の
"トモダチ"
を演じる。
「ふ、フラれた…」
好きな子に告白をした。
だがしかし、見事に玉砕。
フラフラといつもの溜まり場に出向いて周りにいる数名の人間に状況を伝えた。
「あー、やっぱりか」
「お前、アタック全然しなかったじゃん」
「ヘタレめ」
ズケズケと遠慮なしに傷心中の自分に言ってくるあたり素直だなと思う。良い風に言えば。
「って、事で〜」
1人がドヤァという顔でもったいぶった間を作り何かを言おうとしていた。周りにいる奴らもニヤニヤしている。
「フラれてかわいそうなお前に俺らからプレゼントだ!ありがたく受け取れよ」
そう言って冷たいものが首に触れた。思わずビクリと体が震える。
よくよくみてみると某有名炭酸飲料だった。
「…え?」
状況が分からずクエスチョンマークを浮かべる自分に周りの奴らはフフンっとこれまたドヤ顔で声を揃えて言った。
「「「オレら、仲間だろ」」」
そうか。仲間か。
なんかいいな、友達じゃなくて仲間。
フラれたというのにそんな事がどうでもよくなるくらい歓喜で胸がいっぱいになった。
※※※
数日後
「オレら付き合うことになった」
仲間の1人が嬉しそうに自分がに数日前にフラれた女の子と付き合う宣言をしてきた。
…仲間ってなんだったけなぁ?
ーーーーーー
仲間
幼稚園の頃は、先生に言われてお散歩の時は君と手を繋いで公園まで行った。
小学生の頃は、気まずくて手なんて繋がなかった。
中学生の時も、気まずかった。冷やかされるのも嫌だった。
高校生になって君と付き合うことになった。
幼稚園からの付き合いだと言うのに手を繋ぐことが恥ずかしくて照れ臭くてなかなか手をつなげなかった。
社会人になって、お酒が飲めるようになると酔ったふりをして手を繋ぐことが多くなった。
そして今。
「ぱぱー!ままー!お手々繋いで公園いこーよー!」
君との子を授かり、その子が自分たちを繋いでくれる。
今日も。3人手を繋いで歩く影が伸びている。
ーーーーーー
手を繋いで
「貴方が好きです」
今までにないほど勇気を出した一世一代の告白。
貴方は申し訳なさそうに笑って言った。
「ありがとう、ごめんね」
貴方に好きな人がいるのを分かってて言った言葉。
誰か、そんな私を慰めてよ。
ーーーーーー
ありがとう、ごめんね
僕の部屋の片隅には幽霊というものが住んでいる。だからと言って怖いわけではない。
むしろーーーーーー
「ただいまぁ〜」
「お帰りなさい…」
その幽霊は挨拶だけだが必ず応えてくれる。それは一人暮らしの僕にとっては帰る家があるという感じがして心地がいい。
いつかーーーーーーー
部屋の片隅なんかではなく、
「一緒にご飯食べようよ」
「……」
円卓を囲めればいいと、そう思ってしまうのだ。
相手は幽霊だけど。
ーーーーーー
部屋の片隅で