日常、停止。
好きな色。
赤はかっこいいし。
青は落ち着くし。
黄は明るいし。
緑はたまに着るし。
嫌いな色の方が少ないかな。
どんな色も環境に左右されるし。
気分にもよるし。
そうなると確かに人間みたいだね。
十人十色とは言ったもんだね。
あなたがいたから、うーんなんだろう。あなたがいたから、空想は楽しいものだと知ったし、あなたがいたから、勇気を出して社会に馴染めたし、あなたがいたから、たくさんの幸せを感じることができた。一人ではない、今まで出会ってくれたあなたたちにありがとう。読んでくれたあなたもありがとう。
遠い相合傘(創作)
高校の時の話で、この時期になると思い出す。僕を変えた男。あの日までそいつには、ちょいグレてそう以外に印象が無かった。
その日は体育館の倉庫で、僕は女子に告白された。「あんたが好き」。そんな風なベタなシチュエーションで、多分「いいよ」と肯いた。僕は恋を軽く捉えていた。
放課後その子と帰る時、例のそいつとそのいつメンが来た。そいつは僕達のことをスルーしたが、周りでヒューヒューとひやかされた。
「なあお前ら傘持ってる?」
言い訳をしていたら、外野から気の抜けた声が聞こえ、僕らは傘を少し上に掲げる。そうするとそいつはバッと制服を脱いで、しわくちゃな雨避けにした。
「やっぱこれよ。ごめん俺先帰るから」
「ねえ、傘使う?」
鶴の一声、そいつに傘を差し出したのはその時の彼女だ。打ち付ける音が遠くなるくらい一瞬の静寂。僕は生唾を飲んだ。そいつは驚いていた。そして彼は悔しそうに歯を食いしばった。
「要らねえよっ」
今にも何かが溢れそうなそいつは、何を血迷ったか差し出されたレディースの水玉の傘をぶんどって、土砂降りの中を走り出した。
「あいつ、〇〇(彼女)好きだったんだよ、許してやってよ」
苦笑いでいつメンがフォローを入れる。彼女は「そう」と呟いた。僕は黙ってそいつが走った方向へ目を向けていた。
やがて正気に戻って傘を差すと「あげちゃったから入れて」と自然に隣に入ってきた。しかし、僕は全部どうでもよくなっていた。
僕が、そいつを好きになってしまったのだ。その全速力の想いに。
相合傘の下で僕達は遠く、そいつと彼女の傘も繋がっているのに遠かった。
テーマ「落下」の作品を眺めた。なるほど。それは元々高い位置に居るときと、高く上がったあとに、起こることか。
個人的な話だと、ジェットコースターは好きだが、フリーフォールはかなり死を感じる。体の安定を失う無重力感と、地面に当たって潰れる想像が、ずっと未知なる恐怖なのだと思う。バンジージャンプなんて一生したくない。
だが、人生が落下していることに気づかないのはもっと怖い。