生きていると
色んな場面で、色んな感情を抱く
景色の良い露天風呂に入って
外気とお湯の温度差のなか
森林に目をやって思うこと
顔を合わせれば悪口ばかり投げかけてくる
意地悪な人をみて思うこと
天国みたいだ、とか
地獄のようだ、とか
比喩としてたまにそうやって表現するけど
実際は体験してないから
ほんとうに天国や地獄に匹敵するのか
わかんないよね
それでも共通認識として
表現に使用すれば伝わるんだから
わたしたちって
どちらも体験したことがあるのかしらね
◇天国と地獄◇
セーラームーンになって
未来永劫、愛する人と信頼できる仲間
可愛い娘がそばにいてくれる、として
たとえば何百年後に誰かが居なくなる
ことがあったら
ずっとずっと当たり前のように傍にいた人が
突然に居なくなったら
セーラームーンは、乗り越えられるのかな
彼女は強いから 乗り越えられるに違いない
セーラームーンになりたいなぁ
◇月にねがいを◇
人に予めインプットされている三大欲求
睡眠欲、食欲、性欲
生きてると切っても切れない項目
わたしはその中でも睡眠欲にてんで抗えない
眠りについてしまったら一切の理性は効かない、絶対に
それは本能なのか現実逃避なのか
会えないあの子に
会えるかもしれないという淡い期待なのか
眠ってると物語が始まるときは
もうずっと夢の中にいたいと思う
会いたいあの子が
出てこなくても
あの子がいないことを突きつけてくる
こちらの世界から
一時でも離れられるなら‥
◇逃れられない◇
きょうも、ママのそばでいきてくれて
ありがとう
おやすみ、またあしたね
8日前まであの子としてたやりとり
もう、あの子に
おはようも、おやすみも
いいてんきだねも、おそとかぜつよいねも
話しかけたって もうそれは
わたしの独り言
もう一度、やわらかな毛を撫でたくても
燃え尽きて真っ白になった 華奢なあの子が
ちいさな壺に眠るのみ
冷たい体でも ずっと抱きしめていたかった
火葬の日は 本当に泣いて泣いて
最期の抱っこが名残惜しくて
離したくなくて
ギリギリまで腕の中で 眠ってるだけのような
可愛い顔を眺めていた
火葬はしないといけないにせよ、
自ら我が子を燃やしに行くなんて、
悲しくって仕方なかった
旦那とふたりで泣きながら向かった
すべてが終わって
憔悴したわたしの手元には
ちいさなオムツ
洗い流さなくていいシャンプー
あの子が好きだった、たくさんのおやつ
途中で投薬をあきらめて残った 薬のシート
たくさんの画像と動画
それと、ちいさな骨壺と
病院からのお花
あの子の猫生も
わたしのお世話中心の生活も
あっけなく終わってしまった
なんなら職も失った
ここ数日は
あの子との思い出を辿っては泣いて
分骨してカプセルに入ってるお骨を眺めては
切なくなって 会いたくなって‥
年末から今まで あの子のために生きてきた
あの子が傍で生きててくれる世界が
毎日まいにち 尊かった
もっと一緒にいたかった
もっとお世話させてほしかった
でもその反面
病気でボロボロの体から解放されて
もうつらくないであろうあの子を想うと
お疲れさま、よく頑張ったね、
偉かったよって言ってあげたい
今日ようやく、遺影のあの子に
泣かずに話しかけることができた
だから、もう言える気がする
8日前まで言えてた言葉
おつかれさま、よくがんばったね
ママのところにきてくれてありがとう
ママはココちゃんにであえて
とってもしあわせだったよ
これからも、ずっとずっとだいすきだよ
あいしてる
ママのだいじな、だいじな、
だいじな、だいじな、たからもの
きょうはおやすみ
◇また明日◇
あなたがいつも
ちゃん付けで呼んでくれたこと
あなたがわたしを見つめるときの
優しい眼差し
酔っ払って帰宅して
わたしに抱きついてキスしてきたこと
わたしには絶対弱音を言わなかったこと
最後の旅行で
あなたと話したいことを話せなかったこと
何度季節が巡っても
晩夏と初秋は、あのときのことを思い出す
◇ 忘れられない、いつまでも◇