past love story by Lily

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11/21/2023, 7:46:25 AM

緑色のビー玉みたいな瞳を持つ
活発でおしゃべり
甘えんぼの黒猫の男の子

控えめなのに大胆
病気のせいで体重3キロあるかないかの
華奢でおめめぱっちり
しっかりお返事できるサビ猫の女の子

どちらもわたしのいちばん

ママのとこにきてくれてありがとう


◇たからもの◇

11/20/2023, 12:06:12 PM

蝋燭の灯りで周りより一際明るいテーブルにエスコートされ

ウエイターが去る前に
手慣れたように料理やドリンクを頼む

ここは料理出てくるの、おそいから
とニコニコしながらあなたはわたしに話す

間接照明やネオンサインで彩られたホールは
グランドピアノがごく自然に配置され

今まで何千、何万人も迎え入れたであろう
品の良い木製のテーブルや椅子、ステージは

ジャズやR&Bを染み込ませたようで
年季の入ったホールによく似合った

演奏が始まるまで、
平日だというのに活気のある店内は
ウエイターも客も往来が激しい

となりのテーブルの若い男衆3人組が
話しながら店内をキョロキョロしている

わたしと同じで初めてくるのかなと
横目で眺めているとあなたが

いつも持ってるトランプカードを取り出して
ゲームをしようと言ってきた

絵柄のあるカードをシャッフルして
1枚をテーブルに置いて
そのカードに手をかざして
赤か黒か 色を当てるというもの

ハートやダイヤは、かざした手が
温かく感じると言って
あなたはテーブルに置かれたカードの色を
見事に当てた

わたしもそれに続いて次のカードに
手をかざすのだけれど
わかるような、わかんないような

わたしたちはドリンクがきた後も
くすくす笑いながら

演奏が始まるまで お互いの手を触って
赤か黒か どうしたらわかるのか

テーブルの灯りに照らされながら
指南してもらっていた



◇キャンドル◇

11/17/2023, 3:50:42 PM

寒くなって思い出すのは

キャッチで外に立ってたこととか

クリスマスのイベントで

みんなでサンタのコスプレして接客したり

お酒飲んでバカテンションで笑ったり

閉店作業で看板回収しに出たときの

外気の冷たさが
頬の火照りに気持ちよかったこととか

でも薄着の隙間に入ってくる冷気に
はやく帰りたいなと思ったこととか

酔っ払ったお客さんの見送りの時に
ぎゅーって抱きしめられてたのを

あなたに見られてて

その晩に、あーいうの 見るのしんどいから

って同業者の仲良い男の人に嫉妬されて
嫌な気がしなかったこととか

わたしの記憶って そんなんばっかりだなー



◇ふゆになったら◇

11/15/2023, 3:32:27 PM

付き合い始めの頃

わたしはあなたよりお姉さんだから

あなたを甘やかすことが多かったね

まあ、あなたも猫かぶってたっぽいし

わたしも気の利くお姉さんのフリしてたし?

今ではあんな甘い時間 あんまりないよね

てれちゃうよね

膝枕して あなたの髪を ゆびで梳かしてる

なーんてねぇ


◇子猫◇

11/15/2023, 8:04:08 AM

わたしが働いてたBarで

好意を寄せてくれていたあなた

お互いに 店員とお客さん

その境界線が縮まることなく

仲良くしていた

もともとBarに付いているあなた

本気か、あわよくばか

わたしには分からなかったけど

たまに向けられる熱視線に

悪い気はしなかった

いつも優しくて 甘やかしてくれたあなた

Barを辞めてからも

あなたの印象はそのままだった

何年も経ってから ふらっとBarに立ち寄った

知ってる常連客さんはひとりもいなかった

オーナーにあなたを呼んでもらって

ひさしぶりの再会

また あなたの優しい笑顔が見れると思って

話しかけるわたしの声色は

二言、三言めには 海底に沈んでしまった

あなたの目は わたしに語った



ううん、なにも 語ってくれなかった





◇あきかぜ◇

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