【特別な夜】
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【海底】※フラアサ
「海底ってさ、何があると思う?」
「は?縁起でもねえこと言うなクソ髭。自分の立場わかってんのか」
フランシスは海軍の一員として海に出る予定だった。それはアーサーも同じことで、ふたりはこれまでも度々海に出ては敵艦と会戦を交えていた。とはいえ彼は国であり、軍の中でも言ってみれば元師と肩を並べられるほどの地位はもっていた。とはいえ何をしても基本死なないなどという個体は、持久力その他粘り強さが求められる観点でいえば人間などと比べて比でない戦力をもち得る。そんなわけで地位よろしくというわけか頻繁に戦場に向かわされるのだ。これに加えて上司たちとの会議やら雑務も任されていて、これでは身がいくつあってもちそうにない。
最近は戦争も苛烈を極めてきたのだろう、海を見る機会が多くなった。戦火の下誰もが命がけな状況とはいえ、流石に大海に愚痴をこぼしたくなる。特別な立場だから許されるものの、もし誰かに聞かれでもしたらそれこそ自分の首がとぶかもしれない。
【未完】
【君に会いたくて】※フラアサ
もう二週間も会ってない。流石に我慢の限界である。
アーサーはベッドに身を投げ、メッセージアプリを開いた。一番上に固定されているフランシスのボックスを開くと、今までのやりとりが画面上に表れる。やりとりをしたのは三日前。
別に二週間会わなかったのが初めてじゃない。もっと長いこと、例えば三ヶ月ぐらい会わないことだってあったような気がする。でも、この関係を恋人という名前で呼ぶようになってから、しかも、特に忙しい時期でもないのに!こんなに会わなかったのは初めてだし、何より忙しい時期でないというのがアーサーは気にくわなかった。
国という特殊すぎる立場上、多忙なのは当然のことである。だから顔を合わせられない時期があることなど、同じく国であるアーサーは身をもって承知していた。なら、それなら、恋人なら、忙しなくないときには会いに来るのが筋ってもんだろう。
【閉ざされた日記】
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【美しい】※フラアサ
美しいといえば、自分のことだ。
そうフランシスが豪語するのはなにも今に始まった話ではなく、十数世紀も前からのこと。
そんなフランシスの隣にずっといたのが、このアーサーという男である。アーサーは実際、フランシスのことを綺麗だと思ったことはあったし、それに憧れすら抱いたことだってある。今は綺麗だと思っていないなどと言えば嘘になってしまう。まあ事実フランシスは自分をよく見せるための努力は惜しまないのだ。
フランシスは稀にではあるがアーサーを褒める。アーサーだけでない。フランシスは人を喜ばせることが好きだ。おそらく自覚はないだろうが、それが自分が喜ぶことにも繋がるわけで、自分の眼鏡にかなったものはなんであろうと口に出して好評価するのだ。
【未完】