リズ

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8/12/2024, 10:47:07 AM

いつか聴いた音を探していたら、
いつの間にか追いつけなくなっていた。

君の奏でる音はいつでも正確で、
君の奏でる音色はいつも美しくて、
君の奏でる音楽は、私のすべてを虜にする。

毎日毎日基礎を磨いて、
毎日毎日練習をして、
取り憑かれたように奏で続けて、
血眼になって自分だけの音色を探してもやっぱりできなくて、
満足出来ない結果に涙を流している私の横で、
君は笑っていた。
その表情、感情の差が、
残酷なまでに私に現実を突きつけてくる。

やっぱり、君の奏でる音楽は素晴らしい。
あぁ、また私は君の音を探してしまうんだ。
いつの間にか君はいなくなっていて、
もう、追いつけないことを知っているのに。


          「君の奏でる音楽」

7/20/2024, 1:17:47 PM

「__いい名前ですね」
互いに自己紹介を交わしたあと、きみはそう言った。
私はそんなことを言われたことなんてなかったから、
どう反応していいのかわからなかった。

「…なんでそう思う?」
結局言えたのはそれだけだった。

「うーん...
 貴女に一目惚れしたから、
他の誰よりも素敵に感じるんだと思います」
きみは微かに笑みを零しながらそう言う。


私の名前は、君のおかげで私にとって特別なものになった。


「ねぇ、私は君もいい名前だと思うよ」

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           「私の名前」

7/19/2024, 10:12:14 AM

わたしの視線の先には君。
君の視線の先には君の好きな人。
どうしても叶わない片思い。
無理だって、叶えることが不可能なのは知ってるから、
だから、今も眼の奥に君の姿を刷るのです。
そうして今もまだ、
わたしの視線の先には君が存在しているのです。

            「視線の先には」

2/1/2024, 11:37:38 AM

通る度に思い出す。
あの頃、貴方と一緒に乗ったブランコ。
あれから色々あって、
近くにいるのに心は遠くなってしまった貴方。
知らない土地に触れて、私に夢を見させてくれた。
楽しかった。
あれから、あの道を通る度に思い出す。
楽しかったあの日を。


      「ブランコ」

1/23/2024, 12:50:00 PM

私はどれだけの時間、落ち続けているのだろう、
どこまでも止まらずに落ちている。
地に足のつかない浮遊感。
今どこにいるかも分からない暗闇。
微睡んだような視界の中、ただいつまでもおちていく。
前も後ろも分からなくなって、すべてが絡まって、
光も暗闇もぜんぶ混ざって、
感情も理性もぜんぶぜんぶ混濁して、
自他が混ざり合いそうになった頃、
ぶつかった。

地面、じゃない。
水面、?でもない。
もっと温かい。いや、暖かい?
私の全身を呑み込むあたたかさに触れた。

そっと抱きとめた君を見た。
その眼差しを見た、温もりを見た。
君を感じて、君に触れた。
私は泣いた。
そんな叶うことの無い、夢を見た。
それは、夢だったんだ。

                 「こんな夢を見た」

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