3/16/2024, 1:16:59 PM
怖がり
私は小さい頃から怖がりだった。
3/16/2024, 8:22:10 AM
星が溢れる
学校の屋上で、空を眺めてみる。街灯のせいか、あまり星が見えない。
「残念だな。最後は星を見て終わろうと思ったのに。」
俺、澤谷は、吐き捨てるようにそう呟いた。
「最後?君は、自殺をするつもりなの?」
となりから声が聞こえる。誰もいるはずがないのに。そう思って、声のするほう見てみる。やっぱり、誰もいなかった。幻聴が聞こえるようになったのかとも思ったが、どうせ死ぬんだからどうでもいいかとも思い、幻聴に答えてみる。
「あぁ、そうだよ。俺は死ぬんだ。ここから飛び降りてな。」
「なんで?怖くはないの?」
幻聴がさらに質問をしてくる。
「怖い?怖くはないさ。どうせ生きててもいいことなんてないし、どうでもいいんだ。」
「いいことならあるよ。空を見上げてごらん。」
「空ならさっきも見たさ。何も見えなかったんだよ。」
そう答えながら、空を見上げる。すると、遠くの方で、星がキランと輝いた。思わず感嘆の声を上げる。
「綺麗でしょ?」
幻聴が言う。それに合わせて、星がまた、輝いた。
「確かにな。でも、それになんの関係が・・・」
流れ星が見えた。それもひとつではなく、たくさん。
「綺麗でしょ?」
幻聴が言う。まるで、そうなることをわかっていたように。
「お前は、星なのか?」
その問いには答えずに、幻聴は続ける。
「これは、流星群と言うんだ。毎年、この時期に起こ・・・って、聞いてる?」
俺は、流星群に目を奪われていた。
数時間が経ち、やっと目を離した俺に、幻聴は問う。
「まだ死にたいと思うかい?」
「いや・・・もう大丈夫だ。」
俺は答える。
「よかった。これで僕の役目は終わりだ。じゃあね。」
空では星が輝いていた。