お題・過ぎ去った日々
題名・時差
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今日、俺の卒業式。
泣いていはいなかった。めちゃくちゃに楽しい日々だったけれど、友達やクラスメイトが大号泣しているのを見ていたら、特に泣く気持ちにならなかったのだ。
映画で隣の人が泣いているのを見て、なんとなく気持ちが冷めるような感覚とにている。
「卒業式早すぎるよ゛…。」
ズビズビと花を啜りながら抱き合っている女子群達。この中で一人普通の顔しているのも、なんだか薄情な奴な気がしてくる。
そうして、卒業した俺らは別々だったり、たまに同じ道を行く奴がいたりとか、そんな感じで別れていった。
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三ヶ月後、春休みも終わり、大学へ行く日々が始まる。バイトも掛け持ちして自由に使えるお金も増えて、結構充実した毎日を送っていた。今日も大学へ行った後、バイトをして帰る予定だ。
「…あ」
上履きを忘れた日、先生に借りたまま返していないのを思い出す。クローゼットを漁ると、奥の方から埃をかぶってでてきた。
バイトの後、返しに行くことにした。
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「いやー久しぶりだね、元気してたか?」
先生に会って上履きを返した後、結構長めの立ち話をして帰路に着く。学校に通っていた時に通った道だった。友達とバカ話ししたり、田んぼのカエルを捕まえてビビリなクラスメイトを脅かしに行って、返り討ちにあった後仲良くなって、それから…、
「…大人になりたくないなぁ」
今の気持ちはきっと、お爺さんになっても忘れないような気がした。
お題「君は今」
題名「隣人のようなもの」
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やれ君は邪魔だとか、どけだとか言うけれど、邪魔をしているのは君の方で、僕は全く理解ができない。図書委員会が図書室にいることの何が邪魔だと言うのだろう。
常人が来ないから、机の真ん中を1人で堂々使っているけれど、たまにくる人は君を見て変な子…、という目で見ているのを、僕が必死にフォローしているのを知らないだろう。当たり前のように居座っているけれど、僕がいない時間も鍵を借りて、委員会でもないのに本棚の仕事をしているのは、仕事を取られた気がして納得できない。
そこまで本が好きか。僕だって好きだけれど、授業をサボってまで図書室にいようとは思わない。だから僕も変な子だと思う。
同じ場所を使うし、変に気まずくなりたくないから陰口言われてもフォローしている、アパートの隣人のような絶妙な距離感。
それでも、それとこれとは別なわけで。
一日で読み切れるのかわからない量の本を積み上げて、座って、ずうっと無表情で本を見てて、たまに窓の外をぼうっと眺めて、また次の日同じように同じ本を積み重ねて、ゆっくりゆっくり読んでいる。
嫌いではない。苦手でもない。友達になりたいとも思わないけれど、やっぱり、変な子だと思った。
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