お題・過ぎ去った日々
題名・時差
ーーーーーーーーーーーーー
今日、俺の卒業式。
泣いていはいなかった。めちゃくちゃに楽しい日々だったけれど、友達やクラスメイトが大号泣しているのを見ていたら、特に泣く気持ちにならなかったのだ。
映画で隣の人が泣いているのを見て、なんとなく気持ちが冷めるような感覚とにている。
「卒業式早すぎるよ゛…。」
ズビズビと花を啜りながら抱き合っている女子群達。この中で一人普通の顔しているのも、なんだか薄情な奴な気がしてくる。
そうして、卒業した俺らは別々だったり、たまに同じ道を行く奴がいたりとか、そんな感じで別れていった。
ーーーー
三ヶ月後、春休みも終わり、大学へ行く日々が始まる。バイトも掛け持ちして自由に使えるお金も増えて、結構充実した毎日を送っていた。今日も大学へ行った後、バイトをして帰る予定だ。
「…あ」
上履きを忘れた日、先生に借りたまま返していないのを思い出す。クローゼットを漁ると、奥の方から埃をかぶってでてきた。
バイトの後、返しに行くことにした。
ーーーー
「いやー久しぶりだね、元気してたか?」
先生に会って上履きを返した後、結構長めの立ち話をして帰路に着く。学校に通っていた時に通った道だった。友達とバカ話ししたり、田んぼのカエルを捕まえてビビリなクラスメイトを脅かしに行って、返り討ちにあった後仲良くなって、それから…、
「…大人になりたくないなぁ」
今の気持ちはきっと、お爺さんになっても忘れないような気がした。
3/10/2024, 2:49:46 AM