寒い。
何も見えない。
ずっと暗闇の中にいる。
己で身を溶かすことも出来ずに、
暗闇の中でただひたすら待ち続けている。
置物として映えるような見た目ではない。
火を灯すという本来の用途を満たさない私に、
存在意義はあるのだろうか。
ライターを向けられても炙られるだけ。
チャッカマンは熱すぎて耐えられない。
健気なマッチ売りの少女なんてもういない。
私が求めるのはただ一つ。
同じ体で同じ火力で灯るあなたに、
キャンドルサービスをしてもらうこと。
そっと寄り添ってもらうこと。
時間はかかるかもしれないけれど、
一度でも火がつくならば、
すぐに同じ火力に並ぶから。
私も火を分け与えられるキャンドルになるから。
思い出:過去の体験や経験、またはそれを思い出すこと。
想い出:過去の体験や経験、またはそれを思い出すこと。
対象に対して強い思い入れがあること。
こういう漢字の違いでニュアンスを使い分けることの出来る魅力的な人になりたい。
思考の一片を再構成する機会をくれて、
私の思い出を想い出へと昇華させてくれるこのアプリよ
ありがとう。
素敵な作品に出会ってもコメントは送れない。
どんな文章が求められているのか、反応の数で測ることが難しい。
時代と逆行しているとも言えるこの場を借りて
頭の中の一部を落としていく毎日をとても楽しんでいます。
私の拙い文章も、誰かに届いていますように。
学生時代の卒業アルバムを捨てるミニマリストの如く
思い出も想い出も捨ててリセットしたくなるいつかが来てしまうまでは、居場所であり続きますように。
冬になったら
乾燥でカサカサする。
暖房で喉が痛くなる。
静電気に怯えて過ごす。
冬になったら
今年はお気に入りのマフラーを着こなしたい。
マフラーの巻き方って200種類あんねん。
手を繋ぎたい。
あ、静電気大丈夫かな。
'寒い"を最大の言い訳にできる冬は意外と悪くない。
もし雪が降ったら
空気が澄んでいるように感じられる。
外の雑音を雪がぜんぶ吸い取って
好きな声がよく聞こえるようになる。
冬、まだかな
ん?こんな曲も聴くんだ?
サブスク契約している音楽配信アプリ。
フォローしている友達が聴いている曲がおすすめされる項目で、普段その欄に並んでいるのとはジャンルが異なる曲が目に止まった。
これ、彼女がカラオケで歌ってたな。
映画館に一緒に行ったんだっけ。
目を閉じた時にだけ
会えるなんて信じない
あいたい
はなればなれの君へ
そうそう、こんな曲だった。
間奏がすごく長くて曲の途中までしか配信されてないから、この後が歌いたいのにって拗ねてたなぁ笑
──────────────────────────────────────
遠くへ引っ越してしまった友達。
物理的にも心理的にも、おそらくもう会うことはないであろう距離の友達。
彼との思い出を撫でたくなる日が定期的に訪れる。
連絡先は持っているけど、
突然メッセージを送っても変に思われるだろうなあ。
音楽アプリでたまたま見かけ、
タイトルに惹かれて再生した曲。
普段とは違う毛色の曲もたまには聴いてみるものだ。
再生履歴に追加されるとなんだかそわそわしたのは、
アニメーションのジャケットが見慣れないから
だけではないはず。
俺は君のアカウントに飛んでわざわざ再生履歴を見に行くけど、きっと君はそんなことはしていない。
歌よ翔べ〜
……君の心にちょっと届く程度に
はなればなれの君へ
Belle
───────────⚪️───
6:08 -1:53
◄◄⠀▐▐ ⠀►►
🔈───────────⚪️🔊
猫が怖い
今まで誰にも言って来なかった
初めて触ったときのあたたかさ
皮膚を1枚挟んだすぐ向こうに血が巡っているという感覚
SNSで流れてくるかわいい子猫の動画には癒される
いいねやブックマークだってすることもある
しかしいざ目の前にすると
その小さな体に収まる生命に恐怖を抱いてしまう
猫=かわいいを定義付けられない自分が非情に思えてしまい
想像上の猫にひっかかれた経験を思い描いて
トラウマがあるからちょっと苦手
ということにしている
たしかに猫はかわいい
しかしそれ以上に
怖いのだ
猫を飼っている親友もいる
彼女に懐く猫もまた
甘えん坊でかわいいと思えている
しかし
猫と共に暮らすのはおろか
自分が猫を愛でているイメージすら全く湧かないのである
私にとっての猫は
遠くから眺めるいきもの
画面越しでだけ
誰かの腕の中にいるときだけ
そのかわいい姿を近くで見せて