【愛を注いでください】
冬の夜の冷たいにわか雨
ぐっしょりとした濡れ落ち葉を踏みしめながらゆく傘のない帰り道
惨めさを引きずって帰宅
シャワーを浴びて少しだけ人心地がついたら
グラスにワインを注ぐ
だけど、
注いでも注いでもなんだか満たされなくて…
そんな風に自分を持て余していると
雨上がりの雲越しにぼんやりと光る今夜の月と目が合った
お月さま、私のグラスに愛を注いでくれませんか?
夜空に向かって絡みながらもう一本ワインの栓を抜くと
月は困ったように雲に隠れてしまっていた_
お題;愛を注いで
【真夜中の本音】
ベランダで一服していると
真夜中の月が寄り添う金星にさよならを告げていた
ありがとう、ごめんね
「ごめんね」を付け加えられて金星は余計に途方に暮れている
でも、それでも寄り添う金星の困惑混じりの輝きは美しい…
そんなヤツは思い切り蹴飛ばしてさっさと離れてしまえばいいのにさっ!
私はタバコの煙を吐き捨てるように月に吹きかけた
時がくれば離れてしまうけど、また寄り添う彼らがうらやましくて_
#ありがとう、ごめんね
【あやふやなものだから...】
戒厳令に弾劾とか糾弾とか…
馴染みのない難しい漢字がニュースの中を飛び交う週末
それほど穏やかな国にワタシはいる
でも...
正しさとか正義に「最近はこういうもんじゃない?」というモラルはあるけれど、どれだけ時代が流れても「こうあるべき!」という普遍的な定義はないのよね...と気づくと..
部屋の片隅でTVが懐かしの愛の歌を歌いはじめる
こんなにも世界はあやふやなものだから
ずっとずっと愛と平和を歌い続けなくちゃいけないんだろう_
#部屋の片隅で
【これもまた夢】
霧の中を彷徨う夢をみている
夢とわかっているのだから
覚めるまでじっとしていればいいのに
早く抜け出したくてひたすらに彷徨い続けている
「私の戻りたい現実にどれほどの価値があっただろうか?」
疑問を投げかけながら
それでも、
早く、早く、
戻りたいと、
彷徨って彷徨って、
焦燥で満ち溢れる沼に足を取られて
沈んでゆくのだけど、
でも、これもまた夢_
お題:夢と現実
吹かぬかも知れぬ秋風を待っています。
季節ハズレの台風の影響かしら?
と、曇った、湿り気のあるぬるい一日。
天気予報は今日も「季節外れの…」とお馴染みの慣用句から始まった。
もはやこれが「平年」なのでは?
とイケズな気分でひとりツッコミの夕暮れ
秋風は吹く間もなく冬が来そうで
とりあえずホットカーペットでもと出してみたけれど
こころの隅っこではまだ秋を待っている_
#秋風