#115 優しい夜の迎え方
明日、もし晴れたら、
思いきり布団を干しましょう
そのままベランダで猫と一緒に
ひなたぼっこもしましょう
そうして、
日暮れ前に取り込んだ布団とひなたぼっこ猫に
移ったおひさまの匂いに包まれて
眠りに落ちて見る夢は陽だまりのような夢
きっと、そんな、優しい夜になるのでしょう__
お題「明日、もし晴れたら」
#114 だから私は一人でいたい
他人の些細な息遣いが耳につきはじめたら限界なのだ
私は部屋にこもってひとり静かに布にくるまる
思わず誰かを傷つけて、自分も傷つかないように
ある日、そんな私を「心配」という善意を着た隣人が尋ねてきた
いくらなんでもずっとひとりは寂しすぎるだろう
少しは陽に当たった方が気分が良くなるだろう
などと、用意してきた彼の思う親切を披露すると
断りもなく私のくるまる布を剥ぎ取ろうとしたが
その瞬間、抑えていた「私」が出てしまい
彼に言葉の牙を剥いた
全力で。
彼の着ていた「善意」があっという間に「憎悪」に変わる
人の親切をなんだと思ってるんだ変人!
彼は勇んで着てきた一張羅の「善意」を剥ぎ取られたことに腹を立て出ていってしまった。
静かになった部屋で私はまた布にくるまり
牙を剥いてしまった「私」を再びなだめながら
ため息をつく
あぁ、だから、一人でいたいのに...
...
お題「だから一人でいたい」
#113 君も幸せになっていい
誰かのためになるならば
自分はどうでもいいなんて
かっこよさげで
かっこよくない
君にも幸せになる権利はある
耳触りのいい言葉でカッコつけて
幸せになる権利を捨てないで
「誰かのためになるならば」
#112 かごの小鳥が鳴く理由
鳥かごにいるだけで
「かわいそう」
と眉をひそめる不自由な人たちを
私はかごの中からあざ笑っている
とても美しい鳴き声で
「鳥かご」
#111
花咲いて
朝露を日々
まとわせて
そばで見守る
散りゆく日まで
「花咲いて」