みゆき

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3/31/2025, 10:46:41 AM

またね!

淡く霞む朝焼け空。いつもより早く目覚めた朝に窓の外を見つめた。少し前までは、帰りの遅い
太陽を凍えながら待ち望んでいた。
「今日は随分と帰りが早いのね」
私は丸い光に囁いた。
「今日は随分と出掛けるのが早いわね」
私はもう見えない月にそう告げた。
窓を開けて少し冷たい空気に冬の背中を感じな
がら温かい日差しを浴びた。
(もう春が来たのね。)
私は溢れ出る沢山の冬にまたねと呟いた。
「温かいセーター、重いコート。小さなカイロ。
霧の朝に暗い帰り道。またね、また1年後私に
寒さを伝えて別れと出会いの準備を手伝って
ください。また寒い中私を温めてください」

春を迎え、桜舞う中で別れに涙して、
夏の盛り、冬の肌寒さを恋しく想い、
秋が訪れ、冬の面影を日々見かける。
その先でまた出会いましょう。
「またね!」

3/30/2025, 12:49:30 PM

春風とともに

いつも歩く通りに春風が吹き抜ける
心地よい風が吹く度桜が舞っていた

ひらひらと舞い落ちる花弁は紙吹雪のようで
出会い別れを噛み締める者達を祝福していた

私は1本の桜の木の枝を握り締めた
大切な人から貰った凄く大切な宝物
枝の咲きにはいくつか桜が咲いてた

そんな小さな桜が春風とともに飛んでゆく
でも優しい春風は私が背負っている重荷を
飛ばす程の強さを知らなくて季節が巡る中
私は何一つ変わらないままだった

春風とともに飛んでゆきたい
私が知らないところまで
私を知らないところまで
そしたら、そのさきで
何か変われる気がする
生き直せる気がする。
だから春風ともに遠く離れた空の向こうで
消え去りたい――

3/27/2025, 10:09:44 AM

春爛漫

家に帰る暮れ六つ時
微かに明るい青空は
初春の訪れを示した

子供達が帰ったあと
公園のベンチに座り
温かい風を感じてた

ある桃色が横切った
ふと上を見上げると
桜が月に照らされる

桜咲く夜風の景色が
星々のように美しい
春爛漫という刹那を
私は心に深く刻んだ――

3/26/2025, 10:29:40 AM

七色

空に霞む七色の虹
空が晴れ渡る序章

ビニール傘越しに
ある虹を見上げた

完全に消えるまで
その色を見つめる

雨は好きではない
でもまた待ち望む
七色の虹を見るために――

3/14/2025, 10:27:05 AM

君を探して

唐突に始まった終り無きかくれんぼ
空の果てに隠れた君を、探し求める
結末など来ないというのに

どれだけ君の名を遠くに叫んでも
本の様な自由な展開を期待しても
会える事は無いというのに

過去に生きる君は何度もみたのに
今宵を生きる君はどこにもいない
でも生きる君を探している

今すぐ君に会いたい
会う方法など知っている
でもそれを許してはくれない

だけど…

「ねぇ…もういいかい?」



               もういいよ――

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