みゆき

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またね!

淡く霞む朝焼け空。いつもより早く目覚めた朝に窓の外を見つめた。少し前までは、帰りの遅い
太陽を凍えながら待ち望んでいた。
「今日は随分と帰りが早いのね」
私は丸い光に囁いた。
「今日は随分と出掛けるのが早いわね」
私はもう見えない月にそう告げた。
窓を開けて少し冷たい空気に冬の背中を感じな
がら温かい日差しを浴びた。
(もう春が来たのね。)
私は溢れ出る沢山の冬にまたねと呟いた。
「温かいセーター、重いコート。小さなカイロ。
霧の朝に暗い帰り道。またね、また1年後私に
寒さを伝えて別れと出会いの準備を手伝って
ください。また寒い中私を温めてください」

春を迎え、桜舞う中で別れに涙して、
夏の盛り、冬の肌寒さを恋しく想い、
秋が訪れ、冬の面影を日々見かける。
その先でまた出会いましょう。
「またね!」

3/31/2025, 10:46:41 AM