君と最後に会った日
君と最後に会ったのは月夜のきれいな夜だった。君が最後に言った言葉は「好きだけと別れよう」だった。気付いた時には涙が頬をつたっていた。僕は悲しくて何も言わずにその場を離れてしまった。少し気持ちの整理がついてからもう一度行くと君はいなかった。あとから聞いたが、君には持病があったんだってね。何も言わずに逃げちゃってごめん。僕があそこでなにか言えばもしかしたら未来が変わっていたかもしれない。そんなむなしいことを考えながら、僕はお酒を片手に君と最後に見た夜空を見上げる。あの時と同じで頬をつたってくる涙を零さないように。
繊細な花
繊細な花はすぐに折れてしまう。俺の心のように。どんなに折れまいと努力しても結局は折れてしまう。悔しくて悲しくて俺はいつまでも折れた茎を見ている。俺が生きていた証だと誇りながら。
子供のころは
子供のころは好きだった人も大人になると忘れてしまう。母も父も全部が邪魔だと感じてしまう。全部がいらなくて全てが色のない世界に放り込まれたみたいに周りが見えなくなる。暴言を吐かれてどんなに苦しいことでも子供のころは耐えられない。子供のころは親がいないと何もできない。そんなことはない。頑張れば何でもできる。だから僕は前を向いて歩いていくことを決めた。周りが見えないなら周りを切り捨てればいいそのときの僕は馬鹿だった。このあとどれほど後悔するか知らなかったから。
日常
神様へ私の平穏だった日常を返してください。私はあのとき物足りないと思っていました。でもその平穏がなくなるとこんなにも苦しいとは知りませんでした。手放したところで分かるとは。本当に私は馬鹿者です。でもこれだけはお願いします。あの平穏が戻って来るなら私は何でもします。平穏と安全と大切な人を返してください。
あなたがいたから
あなたがいたから私は学校が好きになった。かつて私は不登校だった。でもあなたが手を引っ張って学校に連れて行ってくれたのはとても嬉しかっな。あんな日々が続くと思っていた。2年になってからクラスが離れてしまった。でもあなたは私と約束した。「何があっても毎日お前と学校に行く」と。あなたは今でもその約束を守ってくれてるよね。でも前とは少し違う。毎日同じ家から同じ時間に同じ電車で同じ会社に向かう。今の私にとって一番の幸せがそれだった。