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5/29/2024, 10:43:31 AM

「ごめんね」

この世界には「ごめんね」という言葉が山ほどあるその中の一つの「ごめんね」は彼が俺に向かって言った言葉だ。俺の恋愛対象は男だった。俺が気になった彼は女顔負けの美貌を持ち合わせた人物だった。俺が告白したとき彼は「俺でいいの」と聞いてきた。俺は「君でいいんだよ」と少し頼りない声でいった。その1年後彼はこの世を去った。遺書には「ごめんね」としか書かれてなかった。でも俺はその頼りなさそうな字がうれしく感じた。最後の彼の遺書の中の言葉が「ごめんね」で少しさみしかったが、「俺達は前を向いて生きていかなければいけない。」彼が言った最後の言葉を俺は胸に抱いて歩き出した。

5/28/2024, 10:55:32 AM

半袖

私は半袖が嫌いだ。理由はたくさんある。でもその中で1番は母親から虐待を受けていたときにできたアザだった。ひどいものは黒く変色していて誰にも見せられないような状態だった。だから私はいつも半袖の上にカーディガンを羽織っている。どんなに隠したって見られてしまうようなアザを私は今日も必死に隠す。母親に殺されないために。

5/26/2024, 11:28:35 AM

月に願いを

普通の人ならば月ではなく星に願いをを知っているはずだ。これは俺ら魔族しか知らないおまじないだ。このおまじないは魔族が人間を好きになったときに使うもので、新月と満月のとき、好きな人間のもとへ行き、その場で口づけを交わせばその人間は死ぬまでその魔族しか愛さないというものだ。そして今日は新月。俺は好きなな人間のもとへ行った。彼女は俺を見て「こんにちは魔族のお兄さん。私になにかご用でしょうか」と丁寧な口調で言った。そんな彼女に俺は強引にキスをした。彼女は驚いた顔をしながら真っ赤になっていた。そんな彼女はを見て俺は言った。「今度は満月のときに来る。それまで気長に待っとれ」そう言うと彼女は首を縦に振った。俺はそれを見届けてから、魔界へと帰っていった。

5/25/2024, 12:37:35 PM

降り止まない雨

俺の心の雨は止むことなく、3日降り続いていた。どんなに叫んでも声がかれようと、雨はやまなかった。全ての音が雨に溶け込むかのように聞こえなくなった。ただその大雨のなか、遠くなっていく人影が見えた。彼女だった。彼女は生きていた姿のままこちらを見て引きつったような笑いでこちらを向いていた。俺は言った。「どうしてあなたが死ななくてはいけなかったのですか」その声だけは雨に消されず、彼女に届いた気がした。そして彼女は言った。「そうゆう運命だったのですよ」その声はみょうに優しく、俺の冷え切った心に響いた。「さあもう泣かないで。顔を上げて、心の雨をやませてください」俺はその言葉の通りに流していた涙を引っ込めた。俺はこのとき再度理解した。もうすみれは帰ってこないのだと。信じたくなかったが、俺は受け入れるしかなかった。この悲惨な現実を。

5/23/2024, 11:37:39 AM

逃げられない

あなたの沼にハマってしまったあの日から。気付いたときにはもう周りが暗くて一生抜け出せない深い沼だった。「助けて」と叫んでも周りに吸収されてしまう。何度も叫んだが、無駄だと分かり、叫ぶのをやめた。でもズブズブと足が抜けなくなっている。そして肝心の彼は気づいていない。私があなたの沼にハマっていることを、あなたは一生気づかないのだろうか。そうなると私はどうやってこの沼から抜け出せばいいのだろうか?

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