1月26日、私は昔住んでいた街に30年ぶりに帰ってきた。
そこには懐かしい小学校や神社、友達の家などがあった。
それらをめぐり昔よく遊んでいた公園にたどり着いた時、時刻は19時をすぎていた。
お腹も空いたので昔お世話になった定食屋に足を運ばせた。
記憶よりはるかにミニサイズの親子丼定食を平らげ、自宅へ向かう。
もうすっかり暗くなった街灯の少ないアスファルト作りの歩道を白い息を吐きながら淡々と歩いていく。
ふと時間を見ると23時すぎ。通り過ぎたかと振り向くも、そこには変わり映えない道路がただあるだけ。
不安になり、マップアプリを開いたところでスマホの充電が切れ、立ち往生してしまった。
体感時間30分ほど経っただろうか、ずっと歩きさまよい続けている。
延々と続く歩道と街灯。たまに通る自動車だけが唯一の動く物体。
もうそろそろ疲れてきたので寝ることにする。
起きたら見慣れた街並みが並んでいるはずだ。
そう信じ込み、眠りについた。
1月24日、僕は影髪町に引っ越してきた。
その日に公園に遊びに行き、近所に住んでる田中くんに会ったんだ。
田中くんは坊主、というよりはハゲって感じで髪の毛が生えていないんだ。
病気のせいでなったらしい。
でもそんなこと気にせず笑顔が素敵なやんちゃな男の子だった。
鬼ごっこやすべり台、ジャングルジムやカードゲームなどで遊んだ。
夕方になり、お互い家に帰ることになった。
僕の家と田中くんの家は公園から正反対の方角にある。
僕たちは互いに手を振り合い、帰った。
その時に、田中くんはちょうど逆光があたり、黒かった。
その黒いハゲ頭が、怖い影人間のようだと思った僕は、恐怖で足がすくんでしまった。
そのことに気づき、こちらに近づいてくる影人間。
彼は田中くんだ。わかっているんだ。でも怖いんだ。
思わず目をつぶり、数分ほど経っただろうか、そっと目を開いた。
そこには、心配そうな顔をした田中くんが立っていた。
安心して後ろを振り向くと、手を振っている黒い巨大な影人間がまだそこにいて、近づいてきてたんだ。
僕は泡をふいて倒れた。
あとから聞いたけど、その影人間は田中くんのお父さんだそうだ。
息子に合わせて、スキンヘッドにしているらしい。
田中くんには悪いことをしたな、と思った。
しかしその後、田中くんには会うことはなく、転勤族だった僕はその街をさっていった。