爽やかな貴女には、夏服がよく似合う。
半年後の衣替えが待ち遠しい。
〜衣替え〜
気の合う仲間とのカラオケ。
恥ずかしがり屋の君も来てくれた。
君の歌声が聴きたいけど、恥ずかしくて歌えないの知ってるよ。
だから君の番になりそうな時は、僕が代わりに歌うよ。
君への想いを乗せて、声が枯れるまで。
〜声が枯れるまで〜
見知らぬ土地に行った君は、
会う度に僕の知らない顔が増えてきた。
そりゃそうだよね。
誰も知り合いがいない場所で、
一生懸命に自分の居場所を作ってきたんだから。
僕の知らない君は、
僕の知らない人と恋に落ち、
僕の元から離れていった。
いつからだろうか。
君の考えることがわからなくなったのは。
けど、きっと最初からわかった気になってただけかもね。
お互いに合わせてきたことを、少しずつ辞めていっただけ。
最初から思っていることはすれ違ってたんだよね。
〜すれ違い〜
お元気ですか。
僕は元気です。
あなたが旅立たれて11年。
そちらの生活も、もう慣れたものかと存じます。
この11年、色んなことがありました。
他の人からもたくさん聞かれていることでしょう。
11年の間、それはみんな逞しく成長しました。
あなたが突然旅立ったときの何とも言えない悲愴感。
みんなそれぞれ乗り越えてここまできました。
あなたは今も僕たちを見守ってくれていますか?
それとも、もう心配ないと言ってくださいますか?
僕たちはそれぞれに、色んな思いを持って進んでます。
なので、心配せずにそちらでの生活を思い切り楽しんでください。
清々しい秋晴れの空。
あなたの住む世界へ向けて遮るものは何もないので、手紙を書きました。
追伸
来年、いよいよあなたと同い年になります。
〜秋晴れ〜
久しぶりの地元を車で流していると、たくさんの思い出がよみがえる。
そんな中一人の女性を思い出し、ずっと思いを馳せていた。
高校生の時にずっと好きだった子。
3年間同じクラスで、朝早くに家を出て、偶然を装って一緒に登校をした。
彼女への想いに気付いたのは、高2のいつだっただろうか。
高3になり、告白をした。それも2回。
1回目は夏になる前だったと記憶している。
この頃には、よく電話をかけて他愛のない話をしていた。
自宅近くの公衆電話から電話して、その途中だったと記憶している。
2回目は冬になってから。
やっぱり忘れられないって言った。
答えは両方とも「No」
あの頃の僕は、彼女との距離を縮めることに必死だった。
それが仇となることも知らずに。
彼女曰く「距離が近すぎた」
1番近くにいる男性として認知されたが、恋愛対象ゾーンからは外れてしまった。
高校を卒業後、お互いにパートナーができても、よく電話をした。
そして、2人でドライブに行った。
僕は彼女ができても、その子のことがずっと好きだった。
そして、その子も僕がまだ恋愛感情を持っている事に薄々気付いていたと思う。
それでも2人で会っていた。
もちろん身体の関係はおろか、キスもしない。手も握らない。
まさしく品行方正で健全なお付き合いだった。
そんな彼女の事を思い出し、彼女とよくドライブした道をなぞった。
死ぬまでにもう一度だけ会いたいと願いながら。
あの忘れたくても忘れられない恋愛を反芻しながら。
そして、50歳手前になってもきっとキレイなあの子を思いながら。
〜忘れたくても忘れられない〜