此岸

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4/17/2026, 6:06:53 PM

桜散る

桜並木を歩く。
満開時期を過ぎた四月の中旬。
葉桜が目立ち始め、人も少ない。

このくらいの方が見やすくていいかもな、
そう思いながらゆっくり歩みを進める。

昔はあまり好きではなかった。
春を代表するこの花を少し憎く感じていた。

今思えば桜ではなく、春が嫌だったのだと思う。
出会い別れる季節。
私は出会いも別れも経験したくなかった。
いなくなってしまう人、
その人の代わりに新しく出会う人。
上手く乗り継ぎができなくて置いてけぼりになって。


そんな昔のことを思い出して笑ってしまった。
今はもう憎くなど感じていない。
満開な桜はまだ気後れしてしまうけど、
緑の増えた葉桜には少し親近感が湧いてくる。


誰もいないからと散ったさくらをかき集め、
空に勢いよく投げた。
クルクル回りながら花びらを浴びる。

私は皆を笑顔にさせる桜にはなれないけど、
大切な人を笑顔にする葉桜にはなれるかもな。

4/17/2026, 9:43:17 AM

夢見る心

いつもより整えられた綺麗な髪。
手で少し掬ってみる。

綺麗でしょ、と笑う君。
君がそうでなかったことなど一度もないよ、
そう思いながらぎゅっと抱きしめた。

「おめでとう」

君のとなりを歩く彼が羨ましい。
優しい人だと君を愛している顔だと見るだけでわかる。

でも、でも。
君の手を取って遠くの街へふたりで逃げたい。
君のとなりを私が歩きたい。

私に笑いかける君にそう伝えたい。

4/16/2026, 9:44:43 AM

届かぬ想い

『今日も仕事で遅くなる💦
ご飯は何か買って食べるから。いつもごめんね』

母からのLINEを確認しながら階段をおりた。
今日は母さんの好きなシチューの予定だったのにな、
そんなことを思いながらスリッパを靴箱にいれる。

こんなことは日常茶飯事だ。
父が早くに亡くなったため、
母は女手一つで僕を育ててくれていた。

母のことはもちろん尊敬している。
それでも少しの寂しさが、食卓を襲う。

帰り道で買ったコンビニ弁当。
母さんがいる時しか作る気にならないから、
一人の時は基本これだ。
そんな僕ひとりの食卓を母は知らない。
自分で作って食べていると思っている。

母さんがいるから美味しいのに。
母さんと一緒に食べたいからつくるのに。

そんな考えも冷えたお米とともに飲み込んだ。

4/14/2026, 2:59:49 PM

神様へ

誕生日になると思い出す。
父と交わした最後の約束。
「必ず帰ってくるから。そしたら一緒にケーキ食べよう」

必ず帰るって言ったのに。
一緒にケーキを食べようと約束したのに。


消防士だった父は火災現場に駆けつけ、
知らない子どもを庇って死んだ。
当時の私と歳の変わらない子どもだった。

父の死は小さくともニュースになり、
見た人は父の死を悔やみ、
そして未来ある子どもを守ったことを評価した。

消防士としては名誉のある死だったのだろうか。
だったら父親としてはどうなのだろうか。

今更考えたって無駄なことだった。
父はもういないし、
私の誕生日は父が亡くなった日だからと、
祝われることもなくなった。


ねぇ、神様。
私お父さんのところにいきたいよ。
お父さんに会いたいよ。
ねぇ、神様。
今度こそ、
今度こそ私を幸せにして。

4/13/2026, 7:57:02 AM

遠くの空へ

ブルーインパルスが飛んでいた。
上空を高く高く飛んでいた。

復興を願い、明日への希望をもって。

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