初恋の日
まだ物心のついていない頃、君と出逢った。
だから覚えていないけど、
その時から君が好きだったと思う。
君の一つ一つの仕草に目を惹かれていた。
君の笑顔が好きだった。
君の流す涙が綺麗だった。
君のすべてに恋焦がれた。
会いたい、と思う。
会って手を握りたい。
恥ずかしがる君に好きだと伝えたい。
私はまた想いを消化できずに、
お揃いの指輪にキスをした。
明日世界が終わるなら……
それでもいいかと思える。
だって君が隣に居てくれるから。
君は世界が終わるとしても、笑ってるんだろう。
そして最後まで私を、幸せで満たしてくれるのだろう。
君がいる世界に生まれてこれて良かった。
心からそう思う。
耳を澄ますと
君の歌声。
それに私は耳を澄ます。
明るくて誰ともすぐに打ち解けてしまう君。
けれどその歌声は儚くて、
ひとりぼっちで深海に取り残されたようだった。
だから私も歌う。
君にひとりじゃない、と伝える。
そして君は嬉しそうに微笑んだ。
私たちはふたりぼっちで深海を選んだ。
二人だけの秘密
腰まで伸びた、たおやかな髪。
笑うと八の字になる眉毛に、細まる瞳。
白いワンピースに身を包んだ君は、
消波ブロックに飛び乗り、こちらに笑いかける。
「危ないよ」と声をかけても笑顔で、聞く耳をもたない。
一歩、二歩と次へ飛び乗っていく。
すると三歩目で体勢を崩す。
慌てて私も消波ブロックへ飛び乗り、
君の前へ手を伸ばす。
「ふふっ」と笑う君に、私もつられて「あはは」と笑う。
少しずつ息遣いを増し、そして二人で海へ飛び込んだ。
君は私を深海に導くように両手を握った。
私もすかさず握り返す。
私たちは底へ底へと沈んで行き、
二人だけの世界でこの世に別れを告げた。
優しさだけで、きっと
好きな人お前だから、と君は顔を赤らめながら言った。
まさか私だったとは。
当たって砕けろなんて言わなきゃ良かったな、
そう後悔してももう遅かった。
君は私の返事を待っている。
ごめん、という言葉を待っている。
だから君の期待に応えた。
ごめん、という言葉を放った。
君は少しスッキリしたような顔をして、
ありがとう、と言い私に背を向けた。
君もそうなんだね。
私から離れて行くんだね。
わかってるよ。
優しさだけじゃ幸せになれないことくらい。