はあ、仕事行きたくないな⋯
そんなことを思いながら銀杏並木を散歩していた。
元気がない時にここを散歩すると、赤や黄色に染まった葉に元気をもらえる気がする。
この銀杏並木があるから私は頑張れてきた、と言っても過言ではないくらいだ。
「あの仕事、早く終わらせよう」
そう呟いた時、私を応援するように「秋風」が通りすぎた。
ある夏の夕方六時。
黄昏の中涙を流す。
あなたは自転車事故で居なくなってしまったのに。
もうここには誰もいないのに。
私は、それに気がつけず立ちすくんでいた。
だって、何があっても「また会おうな」って言って一緒に居てくれたあなただ。
こんなことで、こんなことで居なくなるはずがない。
そう信じることしか私には出来ない。
いや、本当はわかっているのかもしれない。
居なくなってもう会えないことも、全部。
それでも⋯
「また会いましょう」
あなたがどこかに居るのなら、この言葉くらいは聞いてくれるだろう。
私はジェットコースターが好きだ。
ふわっと浮かぶような感じがして落ちていく感覚も、ぐるぐると回る感覚も大好きだ。
大嫌いな仕事も、遊園地に行くため頑張っている。
いつか遊園地のスタッフになって、ジェットコースターの点検をしたいと思うくらいにはジェットコースターが好きだ。
なんでそこまで好きなのかはわからないけれど⋯
きっと「スリル」が好きなのだろう
私は、自分で言うのもなんだが努力家だ。
小さい頃から漫画家を目指して頑張っている。
睡眠時間を削って絵を描き、物語の流れを考え⋯。
小さな努力を積み重ねてきた。
買い物も宅配で済ませ、風邪をひいても休まず、頑張ってきたはずだったのに。
結局努力は報われなかった。
私が手に入れたのは、小さな「飛べない翼」だけだった。
はあ、今日は雨か
折角娘の運動会があるのに、こんな天気では中止だろう。
雨が降らないようにてるてる坊主を作っていたのに、結局駄目だったようだ。
可哀想だけれど、きっと日曜日に振り替えられるだろうし大丈夫だろう。
そんなことよりも⋯もう娘はお腹を空かせているだろうから朝食を作らなくてはいけないし、洗濯物も干さなくてはいけない。
朝から大変だな、運動会見たかったな、なんて思いながら重い体を起こす。
窓の外には、揺れている「ススキ」が見えた。