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5/2/2026, 8:32:45 AM

 色とりどりの飴や、ガムを見かけると、大人になった今でも何だか心が躍る。子どものころは、透明なケース越しに眺めるのも好きだった。

 いざ食べてみると、とても甘くて何色を食べてもほぼ同じ味だった。それでも、たくさんの色があることに、ワクワクしていたのだと思う。

 今だったら、その味は甘すぎると思うかもしれない。それでも目を奪われるのは、遠い昔のワクワクがよみがえるせいなのかもしれない。

「カラフル」

5/1/2026, 7:19:30 AM

 久しぶりに海辺に来た。今日の天気は雨模様だったけれど、晴れ間がみえている。海は、キラキラと光を受けて、小刻みに揺れている。

 遠くに船が横切っていく。海の先に空。空の先に海? ぼんやりと眺める。他には何も見えない。折り重なるような白い雲がゆっくりと形を変えて流れていく。その奥に、雨の気配が見えた。

 つかの間のこの時間。時々、耳元を通る風の音を聞きながら、ひたすら心地よい時を過ごす。

「楽園」

4/30/2026, 7:13:15 AM

 家の郵便受けを開けると、一枚葉書が入っていた。温泉地の写真つきの絵葉書だ。裏返すと手書きの文字。絵葉書を受け取るのは、どのくらいぶりだろう。

 それにしても、いい旅だった。温泉地で見かけた絵葉書がなんだか懐かしくて、買ってみた。せっかくなら、旅の記念に自分に出してみようかと切手を貼って、その街のポストに投函したのだ。

 絵葉書、たまにはいいなと思う。ぼんやり手に取って眺めていたら、あの時の温泉の香りが、風に乗って漂ったような気がした。


「風に乗って」

4/29/2026, 9:10:53 AM

 気さくな感じで、軽くって、てきとうそうなのに全くつかみどころがない。街中にいる雀を見ながら、なんだか似てると思う。

 ベンチに座って、こちらがこぼしたものを啄みにやってくる。少し離れたところから、ちょんちょんと、軽く飛びながら近づいてくる。

 じっと動かないでいると、かなり近くまでやってくる。もっと見たいと動いた途端に、さっと飛び立っていく。

 やっぱり雀に似ている。近づいたと思っても、すぐ逃げる。目に何か悲しみのようなものを刹那に感じさせて、また距離をとる。


「刹那」

4/28/2026, 7:34:47 AM

 夜、賑やかな場所から離れて、静かな場所を歩きだす。鬱蒼とした木の下を通りながら、なんのために生きているのだろうと思う。

 「全然ダメだな」と、思わず声が出る。目標としていたことが、うまくいかないことが分かった。このまま諦めてしまおうか。

 足も、手の荷物もずっしり重い。これから、どう生きていこう。抜け殻になったような気がして、深いため息が出る。

 木々の下を抜けると、広い道に出た。透けるような深い紺色の空が見える。その空に、すうっと吸い込まれるような気がした。

 あぁ、他の方法を考えようか。たとえうまくいかなくても、楽しもう。そう思うと、不思議と体が軽くなってきた。


「生きる意味」

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