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3/31/2026, 7:05:53 AM

 カウンターだけの狭い店。ここの味が好きなのだけど、どうもカウンターの席が苦手だ。前に店主がいると、妙に緊張して、何だか落ち着かなくなる。

 椅子に腰掛けようとして、ふらついたり、箸を袖に引っ掛けたり、あわあわして、せわしない雰囲気になってしまう。

 小さくなって座っていると、横に荷物カゴが寄せられた。隣の人を見ると、手がどうぞというジェスチャーをしている。ああ、膝の上に荷物を置いたままだった。身動きがしにくいはずだ。お礼を言って、荷物を入れる。

 反対側の人が席を立ち、後ろの壁に掛けてあった上着をとった。ハンガーをすっと差し出して、さっと出て行った。二人の何気ない感じの気遣いがうれしくて、ふっと緊張が緩んだ。


「何気ないふり」

3/30/2026, 9:07:05 AM

 今日は、ちょっと嫌なことがあった。仕事でうまくいかないことがあった。大切な人たちに迷惑をかけた。なんだか気分が乗らない。ちょっと転んだ。電車に乗り遅れた。その人を仕方なく横切っただけなのに「ちっ」と言われた。

 なんだかなと思う日の夜の、帰り道に咲く桜が満開だった。立ち止まって木の下に入る。街頭に照らされる花は、薄ピンクのモヤみたいで本当に美しかった。誰もいないその場所を、独り占めした。それだけで、今日はハッピーエンドだ。


「ハッピーエンド」

3/29/2026, 7:57:28 AM

 後ろから、じーっと見てみてみる。「そうすると、振り向くかもよ」って言うから。あ、少し横向いた。だめか。後ろまでは、気づかないか。

 「もっと、思いを込めなくちゃ」。気付いてーと、少し強く思ってみる。しばらくすると、また顔が上がった。後ろ! すかさず念じてみる。

 頭がゆっくり動いて、ふーっと後ろを振り返ってきた。あっ。目が合った。不思議そうに、じっと見てくる。「ほら、笑って」。言われるままになんとか笑顔を作る。

 すると、向こうも目元がふっと緩む。その優しい眼差しに、ドキドキする。もうこれ以上は無理だ。でも、隣の彼女は、こんな駆け引きをうまく積み重ねることができるらしい。


「見つめられると」

3/28/2026, 6:21:17 AM

 毎日働いてくれているのに、普段はあんまり意識していない。時々、体や心の動きと連動して、その存在を感じる。ヒトの身体は本当に良くできていて、不思議なもんだと思う。

 誰かを見た時、その何かに心が動いた時のドキドキは、頭の向こうからカーンとで鐘が鳴るような感じがする。一番その存在を感じる時だ。

 その時は、つくづく自分の鼓動を感じながら、ふわふわと、とても幸せな気分に包まれている。

「My Heart」

3/27/2026, 8:33:57 AM

 〝ないもの〟が欲しくなる。それを手に入れようとする。頑張って、努力して、そうしなければいけないかのように。そんな呪縛にとりつかれていた。

 ないものは、努力して身につけるものだ。そんな感じで、子供の頃からやってきたのかもしれない。頑張れば、いつかは身につくかもしれない。そんな幻想で、ずっとやってきたけれど、何かが違う。

 ないものは、ない。ないものばかり見て、〝ある〟ものには、目を向けようとしない。それは自分にとって当たり前になっているものだから。

 でも、その、あるものを伸ばしていくほうが、楽しい。もしかしたら目に見えるカタチで成長が見えるかもしれない。そんなことに、なかなか気づけなかった。
 

「ないものねだり」

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