悲しい時も、うれしい時もよく泣く人は、感情がすぐ表に出る感じでいいなと思う。
もともと、あんまり人前では泣かなかった。たまに泣いたとき「何で泣くの」とクールな顔で言われたのが、ずっと引っかかって、もっと泣けなくなった。
誰も見ていないところでは、涙していたけれど、この頃はその涙もあまり出なくなってきた。でも、泣くと、なんだかすっきりする。きっと、たまには必要なことなんだと思う。
多分これからも、泣かない。でも、誰も見ていないところで、こっそりと思いを流す。
「泣かないよ」
家に遊びに行った時、「この部屋さ、何かあると思うんだ」と、声をひそめて言ってくる。「時々、電気がふっと消えたり、ついたりするし、夜中にカタッて音がしたりする」。
「怖くない?」と聞いてくるので、「あんまりそういうの感じないから大丈夫かも」と言うと、「まあ、気にしないから、住んでるんだけどさ」と、少し大きく目を見開いて平気そうにしてみせる。
そんなことを話していたら、急にパチンと明かりが消えた。「ひゃぁー」と変な悲鳴が聞こえる。「ね、ほらー、そうだ」とまた目を見開いてこちらを見てくる。
きっと、蛍光灯が切れたのだろう。でも、しきりに「ほらね、ね?」と何度も言っている。まあ、そんなところが面白くていいんだけど。
「怖がり」
夜、森の中をどんどんと奥に歩いていく。黒い木々の間から見える空は、無数の星がきらめいている。普段は、ちっとも気づいてなかったけれど、こんなにもたくさんの星があったのだ。
どんどん小道を突き進んでいく。枯葉や木の香りに包まれて、どのくらい歩いただろうか。突然、ぱぁーっと視界がひらけた。
空が大きくはっきりと見える。たくさんの星がきらきらとまたたいて、少しくらくらした。それでも見ていると、星がふるふる揺れて、ぶわっと溢れ出した。そして、光の筋を残しながら一つ、また一つと落ちてきた。
その時初めて、目から、ぽろぽろ、ぽろぽろと涙がこぼれていることに気づいた。
「星が溢れる」
何か分からない苛立ちと、自分のことが嫌すぎると、自分で自分を傷つけようとしていた。いつも諦めのような、でも、何かに期待するかのような、時々哀しみをたたえたような不思議な瞳をしていた。
その瞳の奥に、傷つきやすい本当の自分を押し込んでいた。何が変えたのだろう。年を重ねるにつれ、自然と心がほぐれていったのだろうか。人と関わる職業のせいだろうか。久しぶりに見た君の瞳は、優しくて、とても安らかだった。
「安らかな瞳」
一人でなんでもやって、一人で生きていく。一人でも全く大丈夫なんだけど、ふと、何だかねと思う時がある。
誰かがいてくれたらいいのだけど、その一瞬は満たされても、また違う煩わしさがやってきたりする。
でも、なんだか変な話ではないのだけど、よく分からない大きな何か、創造主のようなものが本当はずっと見守ってくれていると思うと、ちょっと元気がでてくる。
「ずっと隣で」