花なんかまったく興味がなさそうなのに、君は「意外と花が好き」だった。中でも小さな花がたくさん咲いているところに、キュンとするそうなのだ。
「一つ一つの花は小さくても、たくさん咲くと、その辺り一面が花になるのがいい」。よく訪れた公園では、春になると一斉に勿忘草が咲いた。
「かわいいねえ」。そういいながらしゃがんで、カメラを盛んに向けていた。小さな青い花は大きくクローズアップされ、奥にはぼんやりとした薄い青の世界が広がっていた。
確かに、青い敷物をしきつめたようで、美しかった。明るい日差しの中、花が小刻みに揺れていた。一つ一つは可憐でも、集まると生命の力強さを感じた。
もうすぐ、花の季節がやってくる。勿忘草を見るたびに、君のことを思い出す。
「勿忘草」
ブランコに、座ってのんびり乗った記憶があまりない。ぶらぶら乗ったところで、いつも見ている校庭か公園だから、景色に飽き飽きしていたせいかもしれない。
乗る時は、立ち漕ぎでぐいぐいと漕いで、なかなかハードなものになっていた。隣に友達がいるとどっちが、遠くまでいけるか競い合うように漕いだ。でも、時々鎖がグニャッと斜めになったりして、ちょっと怖い思いもした。
座って、足をぶらぶらさせながらのんびり乗るなら、景色のいいところがいい。山の上の空気がいいところで、緑と空の色を見ながら、ゆっくりと揺られてみたい。
ぽーん、ぽーんとブランコと一緒に体を投げ出して、高く上がったところで空を見る。何度か繰り返すうちに、空と一つになる感じがするだろう。そんなブランコに乗ってみたい。
「ブランコ」
旅路の果てというと、断崖絶壁に来ているだろう。二時間サスペンスだったら、最後に来る場所だ。崖の上で遠くを眺める。海はずーっと続いていて、遠くに島が見えている。下は、恐ろしすぎるから見ない。
誰かに追われているわけではない。ただただ、地上の果てに行き着いて、佇んでいるだけなのだ。風が強く吹き付ける。さえぎるものが何もないから、右から左から吹き付ける。
髪の毛は舞い上がり、服がハタハタと音を出す。勇気を出して、そっと下をのぞいてみる。白い波が見える。はっと頭を後ろに戻そうとした時、少し上の崖の途中に、ゆらゆらと白いものが見えた。
もう一度のぞくと、花だった。そういえば、足元には白い花が点々と咲いている。こんなところでも咲いていたのか。不安定でも、斜めでも。
自分には無理だと思いながら、またすごすごと崖から戻っていく。いつかは、あんなところでも咲けるだろうか。
「旅路の果てに」
あなたの何気ない言葉が、私を救ったりする。あなた自身は忘れているかもしれない。でも、その一言が私の中で生き続けている。
見ているものは同じでも、人によって見え方が違う。その見えているものを、かたちにしてみる。心の中の思いを言葉にする。
その中の一つでも誰かに届くといいなと思う。
「あなたに届けたい」
今愛しているもの…。そう簡単には言えない。人に知られるのが恥ずかしい。どうしてだかわからないけれど、好きなものってそうなのだ。
それを手に入れるために、熱心に調べたり、それがあるところを訪れたりする。すぐどうこうするのではない。しばらく悩んで、思いを深める。
もし、手に入るときは最高の時間だ。手元でしばらく眺めたい。まずはそのまま鑑賞して、ようやく手にとる。でも、まだまだ使わないのだ。またそっと元に戻して寝かせておく。
そして、もういいかなと思うころ、ようやく使いはじめる。我ながら変だと思う。やっぱり誰にも言えない。これは自分だけの秘密なのだ。
「I Love...」