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 旅路の果てというと、断崖絶壁に来ているだろう。二時間サスペンスだったら、最後に来る場所だ。崖の上で遠くを眺める。海はずーっと続いていて、遠くに島が見えている。下は、恐ろしすぎるから見ない。

 誰かに追われているわけではない。ただただ、地上の果てに行き着いて、佇んでいるだけなのだ。風が強く吹き付ける。さえぎるものが何もないから、右から左から吹き付ける。

 髪の毛は舞い上がり、服がハタハタと音を出す。勇気を出して、そっと下をのぞいてみる。白い波が見える。はっと頭を後ろに戻そうとした時、少し上の崖の途中に、ゆらゆらと白いものが見えた。

 もう一度のぞくと、花だった。そういえば、足元には白い花が点々と咲いている。こんなところでも咲いていたのか。不安定でも、斜めでも。

 自分には無理だと思いながら、またすごすごと崖から戻っていく。いつかは、あんなところでも咲けるだろうか。


「旅路の果てに」

2/1/2026, 9:26:45 AM