どうして、あんなことになったのかと思うことはたくさんある。自分に問い続けてみるけれど、分からない。ナゾのプレッシャー? 思い込み?
そんなものに振り回されていたのだろうか。
でも、当時の自分を思うと、そうせざるを得なかったのかもしれないと思う。ずっと後悔のようなものを、心の中に溜め込みながら生きていくのだろうか。
それがあることに意味があるのか。もしかすると、その傷みがあるからこそ、分かるものがあるのかもしれない。時が経つと、その傷みは薄まってはいくけれど、消えてはいない。自分を許せない。ああ、それだ。ずっと許せない。許すことができた時、分かるのだろうか。
「答えは、まだ」
どうしようもなく、ずーんと気分が落ち込んだ時は、旅に出るのがよかった。いつもの癒やしスポットもいいけれど、日常の場所ではないところへ。
本当は、動く気もしない。でも、じっと家にいても色々と考えてしまう。誰かと一緒にいる余裕もまだない。思い切って、旅に出てみる。
まだ頭の中は、そのことでいっぱいだけど、だんだん目の前のことに気をとられてくる。
その旅では、見るものの印象が強く感じられる。ただでさえ感情が大きく動いていたのだから、心にずんずん入ってくる。美しいものは、いつもよりもっと美しく見える。気付けば、悲しみを全く忘れることはないけれど、少し後ろに追いやられている。それは、時が経って悲しみが癒えた後でも、大切な思い出として心に残った。
「センチメンタル・ジャーニー」
夜の雰囲気は、感傷的になる。二人で並んで歩く道は、ぼんやりと明るい。青暗い中、月の光が君の顔を照らし、青白い陰影を作る。その横顔はいつもより物憂げで、やさしく見える。私の顔も月の効果でよく見えたりしていないかな。
伝えたいことがあるのに、なかなか言い出せない。こちらを見て笑う君の顔をずっと見ていた。二人はこのまま変わらないのだろうか。ふと、会話が途切れる。「月がまんまるだよ」と月に話をふった。「満月かな」。
月は大きくて、ふるふると揺れているように見える。じっと見ていると、月はじんわりと温かい熱を帯びて、線香花火のようにぽとっと落ちてきそうな気がした。
君と見上げる月…🌙
空白を楽しむってなかなかいい。
空白ができそうだと、妙に焦ることがある。
もっと書かないと。会話をしないと。塗らないと…。それを、ちょっとやめてみる。
すると空白があらわれる。そこに色々なものが隠れている。見えないけれど、色々なものが交錯している。または、無かもしれない。何にもない空なもの。ただそこにある。
そして、空白は余裕ともなる。張り詰めていたものが緩んで、ふっと息ができるようなそんな気がする。
「空白」
いつも慌ただしく、わっとやってきて、すごい熱量で物事を進めていく。周りの人も大きな風に巻き込まれて、ぐわんぐわんと揺れる。気がついたら、停滞していたものが、あっという間に進んでいる。終わるとまたさーっと撤収して、もとの静けさが戻ってくる。
たまにやってくるその人は、痛みを伴うことがあるけれど、よいものを残してくれる。台風が海をかき混ぜて、自然界の流れを作るように。
「台風が過ぎ去って」