赤、緑、青。最近この3色で迷ったばかりだ。
欲しいと思ったペンの軸の色がこの3色だった。
いつも持ち歩くから、気に入ったものがいい。
ぱっと目をひく赤は、持っていると元気がでそうだ。かっこよくもあるし、かわいくもある。
緑は、優しげでおしゃれにみえる。目にも良さそう。青は、スマートだ。これを持っていたらちょっとできる人にみえそう。
手とのなじみ具合を見てみたりする。そうだ、自分の茶色の手帳と合わせたらどうだろうか。パキッとした3色は、どれもよく映えて相性が良さそうだ。
んー、選べない。もう最初に目についたものにしよう。きっと今の気分にしっくりきているはずだ。そして、一番落ち着く気がした緑を新しい相棒に決めた。
「Red,Green,Blue」
カメラにレンズフィルターをつけると、光が色々とあやつられて、違う世界を見ることができる。心にもレンズフィルターをつけたら、強すぎると感じる光から心を守ることができるかもしれない。
ふわっと曇りガラスのように、ソフトにしてみたり。程よく影を見せてもらって、刺激を抑えてみる。温かい色をプラスして、ほっこりしたり。シャープな色合いでクールダウン。時には、キラキラした光を強調して、エールを送ってみたり。
そんなことを想像してみたら、何だか面白くなってきて、少し心が軽くなるような気がする。
「フィルター」
その新しいコミニュティに行くようになってから、もうだいぶ経つ。少しずつおしゃべりも交わすようになっていた。でも、ある時名前を呼んでもらえないことに気づいた。距離を感じて、寂しく思う。まだまだ、新しい人なのだ。
人の出入りが少ないところで、そこに新しく受け入れてもらうのは、難しいのかもしれない。こちらからももっと心を開けばいいのだろうか。
まあ、そこまで気にすることないか。また普通にしていれば、いつも通りこれからも過ぎていくだろう。それでも、居心地が悪いような気がするなら、もっと自分に合う場所を探してみよう。
「仲間になれなくて」
帰ろうとしたら、急に雨が降ってきた。雨の予報ではなかったので、傘を持っていなかった。「傘、忘れた」と言っていたら、ふいに君が通りかかった。
「傘ないの?これあげるよ」と、ビニール傘を差し出してくる。えっ?と戸惑っていると「忘れてよく出先で買うから、傘たくさんあるんだよ」と言って、さわやかに笑う。そして、カバンからさっと折り畳み傘を取り出して、さっと行ってしまった。
その時の傘は、まだ大切に家にある。
「雨と君」
廊下を歩いていると、何か音がした。誰もいないはずの教室。誰かいる? 扉を開けてみる。誰もいない? 中に入ってみて、階段教室の上から眺める。一段一段降りて、教壇までたどり着く。誰もいないよね。振り向いて、ズラっと並ぶ机を見渡す。奥に向かって規則的に続く机の列が、いつまでも続いているように見える。
これまで、どのくらいの人たちがここを出入りしたのだろう。色々な人たちの気配が教室の中に沈んでいる。ガタン、ガタン。ん? 椅子の音? 他の場所から響いているのだろうか。
教室は、誰もいなくても、ずっと人の気配を宿している気がする。
「誰もいない教室」