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7/22/2025, 7:55:14 AM

 子どもの時に初めて星座表を見た時から、夜空に星座を探してみるのがクセになった。
冬の星座が一番探しやすくて、表で見たのとぴったりだったらうれしくなった。

でも、星はあんなにくっきり見えているのに、とてつもなく遠いところにあると分かった。何光年も離れているというとんでもない計算を聞いたら、頭がぼーっとして途方にくれた。
私には星について深く考えるのは無理そうだと思った。

それでも星を見るのは、楽しかった。
細かく、プルプル光が揺れる。
あの星の一つ一つが、ステキな可能性のような気がしてくる。

ちょっとため息がでる日も、星空の下では、私はとってもちっぽけだ。たとえ、追いかけるものがうまくいかなかったって大したことない。
それより遠くにある星を、めざしていけばいいかなんて思えてくる。
そして、今日もいつものように夜空を見上げる。

「星を追いかけて」

7/21/2025, 7:47:24 AM

ずっと長いこと、今を生きていない気がする。
前のことや、先のことばかり考えている。

過ぎてしまったことを思って、とやかく悩み、
先のことを思って、憂いたりしている。

でも、いるのは今だ。
いくらほうぼうに思いをとばしても、
今がずっと連続してある。

そんな大切なこの瞬間に
時々、他の人の方へ意識が飛んで、
自分を見ていないことがある。

私は、何をしたいのか。どうしたいのか。
自分の中に意識を返して
今、楽しもう。

「今を生きる」

7/20/2025, 8:18:13 AM

 網戸をちょっと開けていたら、ふわりと小さな黄色い蝶が入ってきた。
ふぅーっとさまよって、ピタっと壁にとまった。
何度か細かく羽を揺らした後、じっとしている。
細いボディに、黄色い羽。部屋の中で見ると、案外大きく見える。

困った。どうしよう。

網戸のほうから「こっち、こっち」なんて呼んでみたりする。
来るわけないか。

しばらく動く気配がなさそうなので、大きめのビニール袋を持ってきてみる。
そぉーっと近づく。
パッとかぶせると、あっさりとビニールに入った。パタッパタッと小さい羽音がする。

袋の口を手で押さえて、ベランダへ出る。袋を空へ向けてあけた。ん? 出ない。
軽くゆすってみる。さあ!
ふっと出て、やっと慌てたように青空のほうへ飛んでいった。

「飛べ」

7/19/2025, 8:25:15 AM

夜、電車を降りて家に帰っていると、パンパン、シュルシュルと音がしてくる。遠くの空が、曇ってほんのり明るく輝くのが見える。

あ、今日は街の花火大会だった。
引っ越してきて初めてだ。
歩きながら、高い建物のないところへくると、隙間から花火がちらっと見えた。

耳の奥を揺らすような大きな音が聞こえる割には、なかなか花火が見えない。だいぶ遠そうだ。
もうすぐ、フィナーレを迎えるらしく、パラパラ、ヒュー、パンパンと音が激しくなっている。

そうこうするうちに、家の近くにたどり着いた。
すると、花火の方向の視界がたまたま開けていて、かなり高く上がった花火だけが見えている。花火の丸の上半分や、小さな丸がポーンと次から次へと。おお、こんなところから。
ちょっとうれしい一日の終わりだった。

「special day」

7/18/2025, 8:56:21 AM

大きな木の下に入って、上を見上げると枝や葉の隙間から光がちらちら、こぼれている。

光を浴びて、葉の緑が透けて明るく見えるのが良くて、写真に収めようとしてみる。
でも、うまくとらえることができない。

何度か試してみるけど、やっぱり目で見るほうがよくて、あきらめた。
時々、強い風が吹いて、葉が重なる音がする。

気がつけば、こぼれた光は、いろいろな形の丸い玉のようになって、私を照らしていた。
行ったり来たり、ゆらゆら、ゆらゆら。
光を楽しみながら、しばらく涼をとる。


「揺れる木陰」

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